本セミナーでは、結晶化の基礎理論を習得し、その上で「高分子のトポロジー的本性」を取り入れた“滑り拡散理論”とよばれる高分子の結晶化理論から,成形加工の基礎となる流動場結晶化までを解説いたします。
高分子は長いひも状の分子である。よって結晶化するためには蛇のように滑り、絡み合いを制御しなければならない。結晶性高分子材料の構造と物性は結晶化により決定的に左右されるので、結晶化メカニズム解明に基づいた構造・物性の制御は重要である。 本講義では、まず結晶化の基礎理論を習得する。その上で彦坂が提唱した「高分子のトポロジー的本性」を取り入れた“滑り拡散理論”とよばれる高分子の結晶化理論から,成形加工の基礎となる流動場結晶化までを講義する。 本講座の目的は,高分子材料の高性能化・高機能化を展望できる力をつけることである。よって入門編としてわかりやすく講義するが,内容はわれわれの最先端の研究・開発結果である。特に、最近発見した伸長結晶化によるナノ配向結晶 (nano oriented crystal, NOC) を用いた高分子材料の高性能・高機能化については詳細に講義する。