本セミナーでは、スクリーン印刷のプロセス技術としての特長やその適用工法、そしてそのメカニズムやプロセスの適正化の手法をわかりやすい理論に基づいて解説いたします。
プリンテッドエレクトロニクスという言葉は、近年では、「先進印刷工法によりコスト低減と低環境負荷を両立できるエレクトロニクス製造技術またはその製品」の意味として使われている。つまり、プリンテッドエレクトロニクス製造に於いて印刷とは、目的ではなくコスト低減の手段であることを明確に理解することが必要である。 一般的にすべての印刷技術は「刷版」の技術進歩とそれに続く「インク」の性能向上でその印刷品質を向上させてきた。このことはスクリーン印刷においても同様であり、「刷版」であるスクリーン版の主要素であるメッシュ材料の技術進歩により、その印刷品質を向上させてきたことは自明のことである。 スクリーン印刷は、60年以上の長きにわたりエレクトロニクスの非常に多くの分野で、主要な製造技術として利用されてきた。しかしながら、今後のプリンテッドエレクトロニクス分野に於いても主要なプロセスと成り得ると信じている技術者はまだ少数である。 その理由のひとつが、多くの人々の理解が「25年前」のスクリーン印刷の「第一世代」レベルのままであるからであると思われる。スクリーン印刷は、ファインラインの印刷限界が20μmまで向上した「第二世代」を経て、現在では、誰でもが高品質なスクリーン印刷を実践できる「第三世代」に入った。 プリンテッドエレクトロニクスとは、従来の真空成膜、フォトリソプロセスを主体としてきた工法に対するエレクトロニクス製造のパラダイムシフトである。従来の製造方法のままでは、機能が向上しても顧客が費用を負担しない状態 (「イノベーションのジレンマ」クレイトン.クリステンセン著より) に陥ることが多くなり、ローコスト製造技術であるプリンテッドエレクトロニクスがその破壊的技術になりうると期待できる。 破壊的技術とは、従来指標においては、機能は低いがコストが安くプロセスが簡単であるという顧客とって好ましい特徴を有する。つまり、プリンテッドエレクトロニクスの製品で最も重要なことは、大量生産でなくともコストが安くできることである。 そのためにプロセスが簡単な印刷を利用する必要がある。プリンテッドエレクトロニクスの製品化では、まず、コスト低減を優先し、回路の精細度や耐熱性等の機能は従来製品よりも劣ることも許容すべきである。そして、まず、市場規模が年間数億円の「マイクロマーケット」を数多く創出することが必要である。 スクリーン印刷は、印刷工法のなかでもっとも設備コストが廉価で汎用性があり、適量生産に適した印刷速度であり、コスト低減には最も適している印刷工法である。プロセスの信頼性が著しく向上した「第三世代」スクリーン印刷により誰でもが高品質なスクリーン印刷を実践できる環境が整った。 本講演では、スクリーン印刷のプロセス技術としての特長やその適用工法、そしてそのメカニズムやプロセスの適正化の手法をわかりやすい理論に基づいて解説する。さらに、最新のプリンテッドエレクトロニクスでの具体的な応用例と実践方法についても詳しく解説する。 最後に30μmのファインラインの手刷りを、受講者全員に体験をしてもらう。
*30μmファインライン印刷