複数疾患を抱える高齢者が増えている超高齢社会を迎え、近年の医療法・介護保険法等の制度の改正によって、病院での在院日数が短縮され、ますます在宅医療・在宅介護のニーズや重要性が高まっている。また、我が国のみならず欧米の先進国でも同時に複数の疾患を持つ高齢者が増加し大きく医療が変わってきた。 そこで、在宅高齢者に対し、生活行動を記録し、その情報を蓄積・活用するスマートフォン等を使ったケアサービスや各種センサーを活用した住宅設備を含めたケアが構築され、それらのデータが蓄積されてきた。欧米ではそのビッグデータを解析して研究開発に使うように進んできた。 欧米では、高齢化に関わる問題とその解決法を開発するためのデータ利活用のために、EU指令や米国連邦法の改正を行い個人情報保護から利活用へとシフトした。世界は医療ICTを「如何に作るか」から、蓄積されたデータを「如何に活用するか」にシフトしている。 本年5月にストックホルムにおいて、スウェーデン皇太子ご臨席の下、各国保健大臣、国会議員、WHO代表、OECD医療部門代表等、40カ国以上から代表が集まりヘルスケアICTの国際会議が開催された。 そこでの議論を中心に、ハーバード大学とカロリンスカ医科大学 (スウェーデン) が主導する国際共同プロジェクトやEUを中心とした国際共同研究、エストニアにおけるゲノムコホート研究、テレメディスン等の国際動向について事例を踏まえて具体的に紹介する。