研削加工は、仕上げに用いられることが多く、寸法・形状精度の他、表面粗さや研削焼け・割れなどの表面品質が問題となります。そのため他の機械加工作業と比較し、研削作業には熟練した技能が必要とされています。
その原因の一つに、自生作用を有する研削砥石という特殊な工具を用いることがあります。そして研削作業のトラブルの大多数が砥石選択の誤りにあると言われています。そのため研削作業を上手に行うには、作業目的に応じた適切な砥石を選択することが大切です。
また、適切な砥石を選択したとしても、そのコンディショニングが上手に行われていないと、良好な研削作業はできません。そのため適切なツルーイングやドレッシング方法や作業条件を選択することも重要です。
そしてドレッシング後に切れ味の良好な砥石も研削の進行に伴い切れ味が劣化し、再びドレッシングが必要になります。このドレッシングインターバルを目立て間寿命と言いますが、この管理を適切に行うことも大切です。
このように研削作業を上手に行うためには、研削加工に関する基礎知識を十分に理解し、その上で研削加工の基本を正しく守って、作業を適切に行うことが重要です。そして研削加工の基礎知識を十分に理解した上で作業を行えば、研削時に発生するトラブルの対策も容易に行えるようになります。
本セミナーでは、研削加工に関する基本的な基礎知識を述べた上で、研削時に発生するトラブル対策をやさしく説明します。そのため本セミナーを受講することにより、研削加工の基礎知識を習得でき、そして研削作業時のトラブル対策が立てやすくなります。
なお現在、団塊世代の高度熟練技能者の大量退職に伴いその技術・技能の伝承・継承が問題となっておりますので、是非とも多くの方々にご参加いただきたいと思っております。ふるってご参加いただけると幸いです。
- 研削加工の基礎知識
- 「切削」と「研削」
a. 刃物の切れ味とは
b. 切削と研削の特性の違い
c. 研削焼けと割れ
d. 接触弧の長さ
e. 工作物の変形
- いといろな研削形態
a. 目こぼれ形研削
b. 目つぶれ形研削
c. 目づまり形研削
d. 砥粒に作用する力と研削形態
- 研削時に砥石に作用する力
a. 平均切りくず断面積
b. 砥粒間隔と有効切れ刃間隔
c. 作用硬さとは
- 最大砥粒切り込み深さと臨界砥粒押し込み深さ
a. 最大砥粒切り込み深さ
b. マイクロツルーイング
c. 硬脆材料の圧子押し込み深さとDc値
d. 延性モード研削と脆性モード研削
- 研削砥石の基礎知識
- 研削砥石とは
a. 研削砥石の構造
b. 研削砥石と超砥粒ホイール
c. ブリッジタイプとマトリックスタイプ
- 研削砥石の内容の表示
a. 研削砥石とラベル
b. 仕様の表示内容
c. 最高使用周速度
d. 超砥粒ホイールの仕様表示
- 研削砥石の5因子とその選択
a. 砥粒の種類
b. 砥粒の特性
c. 砥粒の種類の選択
d. 砥粒の粒度
e. 粒度の選択
f. 砥石の結合度とは
g. 結合度の選択
h. 組織 (コンセントレーション) とは
i. 組織 (コンセントレーション) の選択
j. 結合剤の種類
k. 結合剤の種類の選択
- ツルーイング・ドレッシングの基礎知識
- 単石ダイヤモンドドレッサによる方法
a. 単石ダイヤモンドドレッサとは
b. 単石ドレッサの種類
c. ドレッサの取り付け
d. ドレッシング方法
e. ドレッサ送り係数
f. ドレッシング時のテーブル送り速度
- 超砥粒ホイールのツルーイング・ドレッシング
a. マトリックスタイプの場合
b. 各種ツルーイング・ドレッシング法
- 研削砥石・遊離砥粒を用いる方法
a. 研削砥石を用いる方法
b. 遊離砥粒を用いる方法
- ダイヤモンド工具を用いる方法
a. ダイヤモンドドレッサによる方法
b. ダイヤモンドロータリドレッサによる方法
- 金属を用いる方法
a. 軟鋼研削法
b. クラッシングロールによる方法
- 電気・化学的な方法
a. 放電加工による方法
b. 接触放電ドレッシング
c. 電解加工による方法
d. 電解インプロセスドレッシング
- 研削油剤の基礎知識
- 研削油剤の種類と選択
a. 研削油剤の働き
b. 研削油剤の種類
c. 研削油剤とその選択
- 研削油剤の供給方法
a. ノズルを用いる方法
b. 遮蔽板を用いた研削液の供給
c. フローティングノズルによる方法
- 環境対応形研削
a. MQLとは
b. 各種ミスト給油法
c. 環境対応形研削事例
- 研削加工と主なトラブル対策
- 研削時に発生する主なトラブル
- 研削焼けとその対策
- 研削ビビリとその対策
- 表面粗さとその対策
- その他の現象と対策