本セミナーでは、これまでに検討してきたレーザによる異種金属接合や異材接合体の強度評価試験など例に、異種金属接合技術と異材接合体の強度信頼性について述べ、また、最近検討を進めている、プラスチックと金属の異材接合についても解説いたします。
高付加価値製品を産み出す可能性を秘めている異材接合技術は、あらゆる産業分野で要求が大きく、材料特性を「適材適所」で活かすことにより、たとえば、輸送機器では大幅な軽量化が期待されます。とくに、接合のための材料や部品を用いない異材直接接合は注目が高く、小型化、軽量化、多機能化の進む電気・電子機器分野において、革新的な構造や機能の実現に有効と考えられます。 しかし、異材接合体は、材料学的にも力学的にも不連続な界面、接合部を有するため、接合プロセスと接合強度特性のいずれも理解が困難です。 すなわち、実際に、異材接合技術を実用化するためには、「異種材料同士を接合するプロセス技術」と「接合体の強度特性評価」が必要となりますが、接合体の強度特性は、接合方法の影響を受けるため、プロセスと強度を切り離して考えることはできません。 本講演では、レーザによる異種金属接合、具体的には、鋼とアルミニウム合金の材料組合せを中心に、接合プロセスと接合体の強度特性について解説し、さらに、その他の材料組合せの異種金属接合の事例についてご紹介いたします。 また、金属材料同士のみではなく、プラスチックと金属のレーザ異材接合についても最近の研究結果をご紹介いたします。 ほかに、異材接合体の強度特性、強度信頼性の評価法について、界面力学の基礎的な内容と実際に強度評価試験を行った例をもとに解説いたします。 未知の材料・部品組合せの異材接合を実現するため、材料・プロセスと力学の両者から問題を捉え、解決策を導き出せるようになることを目標とします。