(2013年8月30日 10:20〜12:00)
(株) カネボウ化粧品 価値創成研究所 感性工学グループ&先端技術研究グループ 猿渡 敬志 氏
脳科学を用いることは新しい価値を持った化粧品を開発するのに役立つのであろうか?
私はYesだと考えている。
ただし、脳科学を用いただけでは新しい価値を持つ化粧品はできないだろう。なぜなら、脳科学はあくまでもヒトを深く理解するためのものであるからだ。
ヒトを深く理解しそれを生かして新しい価値を発想してこそ価値を持った化粧品を開発できると考えている。
本講演では脳科学を用いた化粧の意義について研究した結果を示すと共に、その結果を応用した商品開発への応用可能性について議論したい。
(2013年8月30日 12:50〜14:50)
大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 秋山 庸子 氏
使用触感の心地よさは、化粧品の感性価値を決定する重要な指標となる。これまで、一見感覚的で捉えどころのない使用触感を、具体的な物理現象として理解する試みを行ってきた。 その結果、まず感覚的な言葉を物理的な用語に置き換え、次に触感を一つあるいは複数の物理量によって式や視覚的な情報として表すという手法が有効であることが分かってきた。触感がどのような現象であるかを巨視的、さらには微視的な物理現象として理解することで、化粧品の処方設計に役立てることができると考えられる。ここではいくつかの具体例を挙げながら、その考え方と手法について紹介する。
(2013年8月30日 15:00〜17:00)
花王 (株) ヒューマンヘルスケア研究センター 主席研究員 兼
筑波大学大学院グローバル教育院 教授 矢田 幸博 氏
香りの多様な生理作用 (鎮静や覚醒効果) については、これまでも多くの報告がなされているが、最近では、ダイエットや睡眠改善などのヘルスケア視点からの展開も期待されている。 しかしながら、それらの効果の発現は、香りに対する嗜好性や性別、年齢さらには、生活環境の違いにより大きく異なることが知られている。 そのため、香りの有効性評価では、生理学的な解析結果を疑問視する声もあり、心理学的な解析や評価結果から論じられる場合も多かった。 本講では、香りの評価の際の課題や留意すべき点について論じるとともに課題克服のための香りの探索、有効性評価などの新知見を基に香りの可能性について言及したい。