(2013年7月23日 13:00〜14:40)
九州工業大学 大学院 工学研究院 物質工学研究系 特任教授 増山 不二光 氏
耐熱鋼は、発電や石油化学など大型設備の、高温・高圧下で作動する高温機器に使用され、高温機器の性能は、耐熱鋼の性能に依存する。 したがって、耐熱鋼の選択と使用は高温機器の機械や装置の最重要設計条件の一つに位置付けられる。そのため耐熱鋼の開発も当然、機械・装置の開発の一環として考えなければならない。 ここでは、耐熱鋼開発の技術的変遷を踏まえて、材料設計のための材料開発手法 (強化機構) とそれと対をなす高温強度評価法について紹介するとともに、いくつかの事例をもとに社会、経済、科学技術の面から耐熱鋼開発の背景を述べる。 さらに、劣化診断・強度寿命評価の基礎と応用について述べるとともにその開発状況を展望する。
(2013年7月23日 14:50〜16:30)
首都大学東京 理工学研究科 機械工学専攻 教授 吉葉 正行 氏
耐熱鋼の耐環境特性は,各種熱機関や環境-エネルギープラント機器などに使用され る多様な燃料に由来して構成される複合腐食環境における高温部材表界面での損傷に対する耐久性であり、燃料の品位や性状,作動温度-圧力条件などの外的要因と材料側の組成組織に関連した内的要因との組合せにより、その損傷劣化の様相は複雑多岐にわたる。 このため、材料の強度・靱性のように基準化された設計指針にはなりにくく、臨床学的な対症療法を迫られる場合が多い。 本講では、耐熱鋼の耐環境特性に関する基礎論から,応用 (防食) 面のアプローチまでをカバーするとともに、将来の高温高効率発電プラントにおける耐環境特性の位置付けについても展望する。