世界の資源地図を塗りかえるシェール・ガス革命を契機に、次なる非在来型の石油・天然ガス資源として、メタンハイドレート、カナダのオイル・サンド、ベネズエラのオリノコタールをはじめとした資源の開発が注目を集めている。 メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンの周囲を水分子が囲んだシャーベット状の「燃える氷」と呼ばれる天然ガス資源であり、日本の排他的経済水域 (EEZ) には、少なくとも12.6兆立方メートルと日本の天然ガス消費量の131年分が埋蔵されていると推定されている。 政府による支援により、2013年3月12日には、石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) によって、下半島沖合いの海底から世界初の産出試験に成功した。今後の技術開発動向によっては、資源エネルギー小国である日本のエネルギー状況を大きく変貌させる可能性を持つ。 日本は2018年度の商業化を目指した海洋基本計画を2013年4月26日に策定した。超重質油の埋蔵量は、カナダ、ベネズエラともに、いずれの資源も世界最大の原油埋蔵国であるサウジアラビアを上回っており、世界全体の超重質油の埋蔵量は在来型石油埋蔵量の5倍以上に達すると推定されているものの、これまでは生産コストが1バレル80ドルを超える水準であることから、十分な商業生産の段階に入らないまま現在に至っている。 しかし、21世紀に入り、第1に原油価格の水準が1バレル20ドル台から1バレル100ドル台にパラダイム・シフトし、中東・アフリカ地域の地政学リスクの高まりから、今後も原油価格が1バレル100ドル以上で推移する可能性が強く、超重質油の経済性が向上してきたこと。第2に資源開発技術の進歩によって、超重質油の生産コストの低下、1井戸当たりの生産性が向上してきたこと、第3に世界最大の石油消費国である米国の近隣国であるカナダ、ベネズエラ、さらには石油需要が急速に増加している中国に、超重質油が豊富に存在することから地政学リスクが小さいこと、等から超重質油の生産は増加している。 既に、カナダの原油生産量の45%はオイルサンドが占めている。超重質油は生産時に大量の熱水注入と排水の水処理が不可欠であり、生産コストの低減技術、汚染水の処理技術分野において日本企業の先端技術を発揮する事業機会が多い。メタンハイドレートの開発にも日本の海洋資源開発技術が重要な役割を果たしている。資源量が莫大であることから、日本への石油・天然ガス資源の安定供給にも貢献する。 メタンハイドレート、超重質油開発を巡る日本と世界の最新動向と日本企業にとっての事業機会を詳細に解説する。