(2013年6月28日 (金) 10:30~12:00)
名古屋市立大学 人工透析部 医療福祉地域連携室 臨床工学室 吉田 篤博 氏
下記の1、2のいずれか、又は両方が3カ月間以上持続する
stage3を 45ml/min/1.73m2で3a,3bに分離、腎機能 (GFR:G) だけでなく、その原因疾患 (Cause:C) ,蛋白尿(albuminuria:A) による CGA 分類で評価する。
糖尿病をはじめとして腎臓疾患では、尿蛋白は糸球体での過剰濾過の結果として出現することから、“尿蛋白は腎臓の悲鳴”と考えられる。同一の人なら1日Cr排泄量に大きな変化はないことを利用して、蓄尿できない場合に、ある物質の尿中排泄量をg・Crで考える。
194 x Cr-1.094 x Age-0.287 (mL/min/1.73m2) 女性係数 0.739
体表面積1.73m2の標準的体型 (170cm,63kg) に補正した場合のGFRが算出されるので、投薬量の設定などの場合は,体表面積非補正で評価する必要がある。
シスタチンcを用いたeGFR: 男性: (104×CysC-1.019×0.996age) -8、 女性: (104×CysC-1.019×0.996age×0.929) -8
糖尿病における厳格な血糖コントロール、血圧の厳格なコントロール、ARB/ACE阻害薬の使用、摂取たんぱく制限、高脂血症の治療 (スタチン・・) 、貧血の改善 (エリスロポエチン・・) などが有効と認められている。
食塩の組織毒性
食塩は組織のRA (renin・angiotensin) 系を亢進させる。Naではなく、NaClが悪い。
本来、RA系は体内の救急救命隊であるが、ある状況ではRA系が悪人になっている。
RA系が悪人として作用しているときには、RA系阻害薬は正義の味方であるが、救急救命隊として作用している状態ではRA系阻害薬が悪人となる。
RA系遮断薬の効果判定をどうすればよいのか? Kへの着目。
RA系遮断薬の副作用としての貧血。
スタチン系薬剤のPleiotropic Effectsとしての腎保護作用、抗炎症作用、RA系抑制作用が注目されている。
Ep発見には日本人の関与している。 (Ep蛋白の純化、Ep産生細胞の同定)
腎不全には高率に貧血が存在、保存期から透析期まで幅広くEpが利用されている。
Ep治療は生命予後、QOLを改善するので、Hbを目標にするのではなく、各個人の症状改善を目標とする。
(2013年6月28日 (金) 12:45~16:30)
医療法人社団日高会 日高学術研究センター 研究部長
東京女子医科大学 客員教授 薬学博士、農学博士 永野 伸郎 氏
腎臓は、カルシウム (Ca) ならびにリン (P) 代謝において中心的な役割を担っています。腎機能が低下すると、①Ca、P、副甲状腺ホルモン (PTH) などの検査値異常、②血管石灰化、③代謝性骨疾患の3つのカテゴリーを生命予後の観点から包括した概念である“慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常症 (CKD-MBD;Chronic Kidney Disease-Mineral and Bone Disorder) ”が発症します。 本セミナーでは、まず、腎機能低下時に高P血症の発症を抑えるために、PTHが代償的に上昇し、二次性副甲状腺機能亢進症 (2HPT) が発症・進展する機序を解説します。また、新規P利尿因子である線維芽細胞増殖因子-23 (FGF23) が上昇することによっても、高P血症の発症が抑えられるのと同時に、活性型ビタミンD低下を介してPTHがさらに上昇することを基礎試験成績を用いて実証します。 さらには、FGF23が関連するCKD患者のadverse outcomesを紹介後、腎α-Klothoの発現低下が2HPT発症機序の上流に位置する可能性に加え、腎保護作用を有する薬剤が腎α-Klotho発現を増加させることに触れます。その後、CKD-MBDにおける各種治療薬剤 (リン吸着剤、カルシミメティクス、ビタミンD製剤、その他) の特性を紹介後、私見を交えて個々の製剤間の差別化を試みます。最後に、2HPTマネージメントにおけるシナカルセト+低用量ビタミンD製剤処方の想定されるメリットを紹介します。 本セミナーへ参加されることで、本分野で創薬活動に励まれている (あるいは今後参画を計画中の) 研究員や臨床開発員の方々にとっての、今後の活動のヒントやブレイクスルーに繋がることができれば幸甚です。