本セミナーでは、集電体の開発事例・最新動向についてとともに、電極合材や電解質との相互作用、それぞれの材料技術が、どのようにLiBの特性向上に寄与するのか、またアルミニウム集電体と合材との界面設計の考え方について解説いたします。
(2013年6月21日 11:00〜11:50)
住友軽金属工業 (株) 研究開発センター 主任研究員 本居 徹也 氏
リチウムイオン電池における集電体の役割は、正極活物質を保持し、電流を正極活物質に供給することである。近年、リチウムイオン電池の一層の高出力化、高エネルギー化、さらには良好なサイクル特性が要求されており、正極集電体として用いられているアルミニウム合金箔が担う役割も大きくなってきている。 正極材との密着性は、高出力化、サイクル特性に影響する重要な特性の一つであり、本講座ではアルミニウム合金箔の表面改質が密着性および電池特性に及ぼす効果について紹介する。 またアルミニウム合金箔の強度特性、電気抵抗特性も説明し、表面改質と合わせたアルミニウム合金箔集電体のデザインについて紹介したい。
(2013年6月21日 12:20〜13:30)
(株) SHカッパープロダクツ 生産本部 開発部 小平 宗男 氏
リチウムイオン電池は高容量化が求められており、カーボン系負極材に代ってシリコンなど合金系負極材の採用が検討されている。しかし、これらの高容量活物質は、充放電に伴う体積変化が大きいことから、寿命が短い、寸法安定性が低いといった問題がある。そこで、負極の活物質層では、シリコン酸化物をグラファイトとコンポジット化したり、高強度バインダーを採用したりすることで、体積変化を抑制する検討がなされている。 一方、集電箔側からのアプローチも有効であり、高耐熱・高強度銅合金箔を集電体に用いることで上記問題を緩和することが可能である。すなわち、 (1) 高耐熱性銅合金箔は、リチウムイオン電池製造工程を経ても高強度 (高耐力) を維持でき、これにより、充放電で負極材が繰返し体積変化しても、銅箔が弾性変形してしっかり支え、高寿命化に寄与する。 (2) 負極材が体積変化しても銅箔が塑性変形しないため、電極の伸延やうねりを抑制して電池寸法を安定化できる。
~合材構成材料が表面接触抵抗におよぼす影響とは~
(2013年6月21日 13:40〜16:10)
山形大学 大学院 理工学研究科 准教授 立花 和宏 氏
リチウムイオン二次電池の性能ならびに信頼性を向上させるためにアルミニウム集電体と合材との界面設計をうまくやる必要がある。そこには接触抵抗という電池性能を大きく支配する要素が存在するからである。 本講座ではなぜ正極の集電体にアルミニウムが使われるか、アルミニウムが電池内部で耐食性と導電性をどうやって両立するか、そこに影響を及ぼす因子は何かを議論し、理解を深める。