超臨界流体とは、物質が高圧で気体とも液体ともつかなくなった状態のことで、表面張力がゼロで、高い拡散性と密度を併せ持ち、溶媒として振る舞う不思議な性質を持っています。 超臨界流体、特に超臨界二酸化炭素はコーヒーからのカフェイン抽出などにすでに実用化されており工業的に有用な技術です。半導体やMEMSなどのマイクロプロセスや表面処理プロセスでは、従来の真空プロセスやめっきプロセスにはみられない微細加工性を実現できることから利用が着目されています。 また、大量の廃液を排出しない低環境負荷型プロセスとしても大いに期待されています。 超臨界流体に関するこれまでのセミナーでは化学分野における研究興味を出発としたシーズ転展開形の内容が多かったように思います。これに対し本講では、マイクロ材料加工・表面処理プロセスになぜ超臨界流体が適しているかの観点から超臨界流体の性質を解説し、応用例を示すというニーズ志向の切り口で企画しました。