バイオ由来から高機能材を! 木質バイオマス徹底活用特集

再開催を依頼する / 関連するセミナー・出版物を探す
会場 開催

本セミナーは、木質バイオマスを2テーマセットにしたコースです。
セット受講で特別割引にてご受講いただけます。
通常受講料 : 89,600円 → 割引受講料 59,800円

日時

開催予定

プログラム

リグニン産業最前線

第1部 リグノセルロース・リファイナリーとリグニン系新素材

 ~機能性リグニン素材 (リグノフェノール) の設計・生産・応用・展望~

(2013年6月10日 10:30〜12:30)

三重大学 大学院生物資源学研究科 教授 農学博士 舩岡 正光 様

 植物系バイオマス (リグノセルロース) は,生態系を構成する最重要基盤ユニットであり,様々な生命ユニットと分子レベルで緻密なネットワークを形成し,生態系において絶妙の平衡が形成されている。したがって,経済性を最優先し,リグノセルロースをピンポイント的に化工,評価,廃棄する20世紀型利用システムやピンポイント的視点でバイオエタノールなどの製造原料として単純に位置付ける取り組みは,生物平衡を崩し,修復不可能な環境破壊を引き起こす可能性がある。  リグノセルロース資源を化石資源のルーツとして位置付け,両資源の分子特性におけるその段差を明確化すると共に,今なおその機能的利用が見出されないリグニンについて,生態系におけるその形成,機能,循環,そして人間社会におけるそのなめらかな材料としての分子循環を導くための技術,工業システム,その新しい多段階利用,持続的社会システム展開について解説する。

  1. はじめに
  2. 生態系における物質の流れ ~炭素の濃縮と解放~
  3. 生態系における時間,機能,エネルギ- ~生物循環の動的把握~
  4. 樹木と草本植物 ~その環境対応性から進化を読む~
  5. 植物と環境 ~形態,組織,分子への環境のすり込み~
  6. 生態系における分子規格 ~環境規格と統一規格~
  7. 環境規格高分子素材 “リグニン” の形成と機能
    1. 基本構成単位の誘導
    2. 1次高分子鎖の形成
    3. 3次元ネットワーク構造の形成
    4. 構造に包含されるTime Factor ~分子構造から循環を読む~
  8. バイオリファイニングの現状 ~特徴と問題点~
  9. 生態系を肯定する新しい精密分子リファイニング技術
    1. リグニンの変換設計
    2. 炭水化物の変換設計
    3. リグノセルロースの新しい精密分子リファイニング (相分離系変換システム)
    4. 循環型リグニン系新素材 (リグノフェノール)
    5. リグノフェノールの2次機能制御
  10. リグニン系新素材リグノフェノールの応用
    1. セルロースナノファイバー・リグノフェノール複合材料
    2. リグノセルロース系プラスチック
    3. バイオポリエステル・リグノフェノール複合材料
    4. リグノフェノール/石油系樹脂複合材料
    5. リグノフェノール系酵素固定化
    6. 貴金属固定化
    7. 鉛蓄電池機能制御
    8. リグノフェノール系ハイドロゲル
    9. リグノフェノール系分子ふるい膜など
  11. 機能性リグニン (リグノフェノール) の工業生産
    1. 相分離系変換システムプラントの設計と建設  第1号機 (2001) から第4号機 (2012) へ
    2. 東北震災地復興へ (汚染物質の隔離と震災ガレキの高機能分子資源化)
  12. 脱石油型持続的工業システム ~物質から機能へ~
  13. 緑豊かな未来に向けて

第2部 リグニンからの炭素繊維の製造

(2013年6月10日 13:15〜14:45)

(独) 森林総合研究所 バイオマス化学研究領域 木材化学研究室 主任研究員 久保 智史 氏

 木材の主要成分の一つであるリグニンは、その化学構造が複雑であること、あるいは高分子原料としての特徴が乏しいために、他の木材成分と比較して利用開発が遅れています。  本講演では、木材のバイオマス利用を推し進めるための研究例として、リグニンの炭素繊維の開発とリグニン炭素繊維の特徴を生かした多孔性炭素材料としての特性を紹介します。

  1. はじめに
    1. 木材の構造と化学成分
    2. 木材成分の利用
  2. リグニン
    1. 木材中のリグニン
    2. 木材からのリグニンの単離法と単離リグニンの特性
  3. リグニンの利用
    1. リグニン利用研究の変遷
  4. リグニン炭素材料
    1. 木材の炭素材料としての利用
    2. リグニンの炭素材料としての利用
  5. リグニン炭素繊維の開発
    1. リグニン炭素繊維開発の歴史
    2. リグニンの熱特性と繊維化
    3. リグニン繊維化における課題
    4. リグニン炭素繊維製造における課題
    5. リグニン炭素繊維の特性と用途
  6. まとめ

第3部 リグニンを利用した熱硬化性樹脂の開発と展望

(2013年6月10日 15:00〜16:00)

(株) 日立製作所 日立研究所 材料研究センタ 環境材料プロセス研究部 主任研究員 香川 博之 氏

 木質バイオマスから得られるリグニンを用いた熱硬化性樹脂の開発動向と、日立製作所で開発した水蒸気爆砕で得られる木質リグニンを用いた高耐熱エポキシ樹脂の開発及びその将来展望について述べる。

  1. 熱硬化性樹脂についての概説
  2. 木質バイオマスに含まれるリグニン
  3. リグニンの樹脂への適用検討例
  4. 水蒸気爆砕で得られるリグニンの特徴
  5. 水蒸気爆砕リグニンを用いたエポキシ樹脂の特性
  6. 水蒸気爆砕リグニンを用いたエポキシ樹脂の電気機器への適用検討例
  7. 水蒸気爆砕リグニンの将来展望

※講演プログラム・タイトルなどは変更の可能性がございます。

セルロース/セルロースナノファイバーの高度利用技術

第1部 セルロース及び関連多糖類の基礎化学と機能材料設計法

(2013年6月21日 10:30〜12:30)

京都大学 大学院農学研究科 森林科学専攻 生物材料機能学講座
教授 工学博士 西尾 嘉之 氏

 近年、バイオマス利用の新しい成長ルートの開拓が強く望まれている。材料創製の諸分野においても然りである。  本セミナーでは、バイオマス系天然高分子の代表格であるセルロース及び関連多糖類を主対象に、それらの基本的な構造特性と、高機能化用ポリマー素材 (材料ベース) としてモダンな応用展開を図るための方法論について解説する。繊維・フィルム等のコモディティーな次元材料と、光・電磁界に応答するスペシャリティーの先進材料の両者について、具体的な設計事例も示したい。

  1. 主要多糖の分類と特徴
    • 主要多糖の産出由来
    • 量的分布
    • 化学構造上の特徴
    • バイオマス利用のレトロスペクト
  2. セルロースの構造と特性
    • 木質組成と成分
    • 階層的な構造と特性
    • 繊維・フィブリル・結晶構造
    • 分子特性とアセンブリー特性
  3. セルロースの反応と改質
    • 溶剤と溶解性
    • 置換反応
    • 酸化還元反応
    • グラフト反応
    • 置換度パラメーター
  4. 新規機能材料設計法 ~その1 コモディティーの次元材料 ~
    • 溶融法による新規繊維の設計
    • 多機能ブレンドフィルムの設計
  5. 新規機能材料設計法 ~その2 スペシャリティーの先進材料 ~
    • 液晶機能材料 (分子性液晶とナノクリスタル液晶)
    • 磁性機能材料 (等方性超常磁性体と動的異方性材料)

第2部 セルロースナノファイバーの製造開発と用途開発の動向

(2013年6月21日 13:15〜14:15)

日本製紙 (株) 河崎 雅行 氏

 バイオマス資源を用いた燃料や素材開発が世界的にも進められ、とくに非可食であるセルロースを利用した開発が注目されている。  その一つとして木材から得られるセルロースナノファイバー (CNF) があるが、これはセルロース分子の伸びきり鎖結晶構造を有し、 高強度、熱安定性などの優れた特徴を持っている。CNF開発においてはその特徴を活かした用途開発が重要であり、用途に適したCNF製法および改質技術がポイントとなっている。  本講演ではCNFの製造法およびその特徴および現在考えられている用途開発ついて解説する。

  1. はじめに
    1. 従来のセルロース材料の市場
    2. バイオリファイナリー、セルロースナノファイバー (CNF) とは
    3. CNF開発の背景、目的
  2. CNFの製造法について
    1. 機械的解繊方法、化学処理方法
    2. 各製法によって得られるCNFの特徴
  3. CNF開発の国内外の動向
    1. 国内外の開発動向
    2. 製紙メーカーのポテンシャル
    3. 品質評価、安全性に関する規格化の動き
  4. 用途開発について
    1. 考えられる用途開発
    2. 具体的な開発例
      • 樹脂補強材
      • バリア材
      • 増粘剤など

第3部 セルロースナノファイバー強化樹脂複合材料の特性と利用

(2013年6月21日 14:30〜16:00)

京都市産業技術研究所 材料技術グループ 有機系材料チーム 仙波 健 氏

 セルロースは地球上に最も豊富に存在するサステイナブル資源であり,それを解きほぐしたセルロースナノファイバーは優れた特性を有し,今最も注目されている素材の一つである。  本セミナーでは,ガラス繊維や炭素繊維に代わる樹脂強化材としてセルロースナノファイバーを用い,幾つかの樹脂に対する高強度,軽量化に関する取り組みを紹介する。

  1. セルロースナノファイバーについて
    • 特性・性状
    • 開発の現状
    • これまでの取り組み
  2. ポリエチレンとの複合化
    • 溶融混練押出
    • 力学的特性
    • 発泡成形
    • 高次構造観察
  3. ポリアミドとの複合化
    1. CNF/ポリアミド12の特性
      • カチオン化処理
      • 溶融混練押出
      • 力学的特性
      • 分散状態
    2. CNF/ポリアミド11の特性
      • カチオン化処理
      • 溶融混練押出
      • 力学的特性
      • 分散状態
  4. ポリアセタールとの複合化
    • 力学的特性
    • 摺動性
    • 分散状態
  5. その他複合化手法について

会場

連合会館
101-0062 東京都 千代田区 神田駿河台三丁目2-11
連合会館の地図

受講料

複数名同時受講の割引特典について