エンタテインメント業界において、著作権を中心とした知的財産権を巡る法律関係が重要であることは言うまでもありません。もっとも、コンテンツ制作においては、制作業務が外部にアウトソーシングされることが多々あり、また、制作現場では、典型的な従業員のみならず、プロデューサー、デザイナー、個人クリエイター、芸能人などの様々な属性を持つ人が関与することから、これらの関係者との間に適用される法律関係に留意することも極めて重要です。
すなわち、上記の様々な属性の関係者が「労働者」に該当するか否かにより、適用される法規や権利義務の内容が異なる上、関係者との間で締結している契約内容と実態に乖離がある場合には、「偽装請負」、「偽装派遣」という問題を招来するリスクがあり、さらに、優越的な地位に基づき関係者に不利益な条件を課している場合には、「独禁法」、「下請法」違反が問題になる可能性もあります。 加えて、近時は、コンプライアンスの観点から、関係者の不適切な人脈を排除し、情報管理体制をコントロールすることが重要なテーマになっているため、法務担当者としては、これを実現するための契約上の手当や、その有効性を意識しておくことも必要です。
そこで、本講演においては、上述したようなエンタテインメント業界における業務委託・労務を巡る法的論点について、近時の裁判例や法改正の動向も踏まえ、現時点における最新の分析を行い、かつ、実務上の対処法についても具体的な検証を致します。