(2013年6月11日 10:30〜11:40)
山形大学 理学部 物質生命化学科 教授 博士 (理学) 栗原 正人 氏
電極材料である銀ナノ微粒子を用いたプリンテッドエレクトロニクスの産業化がいよいよ現実味を帯びてきた中、高性能・高純度な銀ナノ微粒子を如何に安価で、且つ、大量合成するか?また、そのユーザーサイド個々の要望に応じたカスタマイズの容易さが求められている。 ここでは、室温~100℃以下の低温で焼成できる (低温融着する) 銀ナノ微粒子の特徴を紹介する。また、「多様性に富んだ銀ナノ微粒子」の安価・大量合成、その塗布膜構造による差別化、その実用化・産業化に向けた山形大学の取り組みも紹介する。時間があれば、耐空気酸化性を有する金属光沢を放つ銅ナノ微粒子や銀銅合金系ナノ微粒子の特徴についても紹介したい。
(2013年6月11日 12:20〜13:30)
石原薬品 (株) 第三研究部 開発1課 課長 博士 (理学) 有村 英俊 氏 【講師紹介】
プリンテッドエレクトロニクス (PE) 分野は、製造プロセスの大幅な簡略化、製造の短期化、コストの削減、低環境負荷であることから注目されている。近年、PE分野において、EM耐性が高く、原料の安価な銅ナノ粒子を含む導電性銅ナノインクによる回路形成が注目されている。しかし、銅ナノ粒子は表面の活性が大きく、容易に酸化するため、印刷後に高温で不活性下もしくは還元雰囲気において、長時間焼成する必要があり、実用化には多くの課題がある。これらの課題を克服した焼成方法の一つとして、紫外から赤外領域までの幅広い波長を有するフラッシュ光を利用したフォトシンタリングが提案されている。
本稿では、プリンテッドエレクトロ二クスにおける導電性銅ナノインクの適用が検討されている分野と、フォトシンタリングプロセスについて解説し、その焼成メカニズ
ム、各種印刷法による回路形成技術についても取り上げる。
(2013年6月11日 13:40〜14:50)
広島大学 工学研究院 物質化学工学部門 化学工学講座 教授 矢吹 彰広 氏
電子回路基板の回路パターンを形成する方法として金属粒子と樹脂バインダを用いた導電性ペーストがある。電子機器の高性能化に伴いフレキシブル基板への回路パターンには低温で焼成が可能な金属ナノペーストが有望であり,銅ナノ粒子の利用が注目されているが,銅は空気中では酸化しやすくハンドリングの問題がある。 ここでは,銅ナノ粒子を用いたペーストの酸化および還元処理による導電性薄膜の低温焼成について述べる。さらに,銅ナノ粒子の酸化挙動、特に粒子表面における酸化プロセスについて述べる。導電性薄膜合成の別のアプローチとして,銅錯体の低温熱分解により得られる銅薄膜の特性について述べる。
(2013年6月11日 15:00〜16:10)
(独) 産業技術総合研究所 コンパクト化学システム研究センター・上級主任研究員 林 拓道 氏
金属銅ナノ粒子は、銅の優れた電気伝導性及びナノ粒子化による融点降下を利用した低温焼成化の特徴から、銅ナノ粒子インクを用いた電子回路基板の直接印刷技術への適用が期待されている。一方、銅ナノ粒子は酸化されやすいという欠点があり、長期間分散安定性・耐酸化性の高い銅ナノ粒子インクが求められている。 銅ナノ粒子は主に有機溶媒を用いたポリオール法などにより合成されているが、我々は、超臨界水熱合成法に着目した。本法は、水の超臨界状態をナノ粒子の反応晶析場として利用する合成法であり、これまでに種々の金属酸化物ナノ粒子の合成が多数報告されてきたが、金属ナノ粒子合成に関する報告は僅少であった。 本稿では、既往の銅ナノ粒子合成法を概説した上で、ナノ粒子の連続合成が可能な流通式超臨界水熱合成法による金属銅ナノ粒子の合成及び合成銅ナノ粒子の溶媒中での分散安定性及び耐酸化性の評価さらにナノ粒子インク化への試みについて講演を行う。