厚生労働省の「2012年度病院経営管理指標」によると、病院の人件費比率は、比較的比率の低い一般病院ですら、医療法人の病院で54.3%、自治体病院で62.4%という数字が公表されています。 また、2012年度の診療報酬改定では、前回に引き続き、勤務医負担軽減として、チーム医療の促進が挙げられ、その施設基準の中には、チームを構成する医療専門職に所定の研修修了等を求める傾向にあります。すなわち、病院は、労働集約型産業であり、さらには、人材集約型産業と言っても過言ではありません。 このような産業であるからこそ、そこで働く人々の能力や意欲が組織の発展に大きく影響することは間違いありません。医業収入の半分を超える人件費を上手に使いながら、職員の意欲を十分引き出すために、さらには、職員との信頼関係を築くためにも、人事考課制度や賃金制度を整備する必要があります。 今回は、病院や大規模クリニック、介護施設等で運用しやすいシンプルな等級制度・人事考課制度・賃金制度について解説し、具体的な導入事例を数多く提供しながら、理解を深めていただきます。