(二軸)押出機の溶融混練徹底解説

再開催を依頼する / 関連するセミナー・出版物を探す
会場 開催

本セミナーは、押出機・分散・混練セミナーを2テーマセットにしたコースです。
セット受講で特別割引にてご受講いただけます。
通常受講料 : 89,600円 → 割引受講料 59,800円

日時

開催予定

プログラム

2013年6月14日「押出機内の樹脂挙動および溶融混練の基礎と最適化」

九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 教授 工学博士 梶原 稔尚 氏

 二軸押出機・混練機やミキシングエレメントを有する単軸押出機を用いて高分子材料の混練がなされている。また、押出機・混練機内の材料挙動をシミュレーションにより予測する技術は年々進歩しており、実現象予測には制約も多くあるが、混練を含めた実際のプロセス設計、装置設計に応用されてきている。  本講では、固体輸送、溶融、溶融体輸送と混練に関して基礎理論をわかりやすく解説するとともに、それに基づく実験およびシミュレーションを用いた混練評価およびスケールアップについて現状と課題を概説する。

  1. 背景
    1. 押出機・混練機の概要
  2. 実験による可視化・計測
    1. 既往の可視化・計測実験の例
    2. 最近の可視化・計測技術の研究例
    3. 各種実験の利点と問題点
  3. 固体輸送メカニズム
  4. 溶融部における高分子材料の溶融メカニズム
    1. 溶融プロセスの可視化
    2. 溶融理論
  5. 溶融混練部の混練メカニズム
    1. 分配混合と分散混合
    2. 伸長流動の重要性
    3. ポリマーブレンド・コンポジットの混練理論
    4. 押出機・混練機と溶融混練理論の関係
  6. 単軸スクリュ押出機内の溶融混練
    1. 溶融混練理論とミキシングスクリュの関係
    2. 新規装置
  7. 二軸混練機・二軸スクリュ押出機内の溶融混練
    1. 溶融混練理論と二軸混練機・スクリュ押出機の関係
    2. 溶融混練に付随する問題と対策
    3. 新規装置
  8. 計算機シミュレーションによる材料挙動の予測
    1. 計算機シミュレーションの利点と問題点
    2. 固体輸送部のシミュレーション
    3. 溶融部のシミュレーション
    4. 溶融体輸送部のシミュレーション
  9. シミュレーションによる溶融混練評価
    1. 分配混合指標とその考え方
    2. 分散混合指標とその考え方
    3. 各種評価指標を用いた研究例
  10. スケールアップとシミュレーション
    1. スケールアップの一般論
    2. シミュレーションによるスケールアップの研究例
  11. 今後の課題

2013年6月28日「二軸押出機による溶融混練の分散・混練度向上の評価とスケールアップの考え方」

(有)エスティア 代表取締役 工学博士 橋爪 慎治 氏

 初めに、コンパウンドを例にして、これまでの品質向上の歴史を考える。これまでの100有余年で実用的であった。さらに、材料内の分散の均一性を達成できる技術も理論も、これまで達成できなかった。特に、押出機のような装置全体で (場所的) 、および材料が分散される過程で (時間的) 、微小材料単位の集合体各々の分散の均一性が異なるのであるから、そうた易く均一性理論が出来るわけではない。高々平均的な挙動が解析できたのみである。このように、現状では、品質のスケールアップは大変難しい命題である。部分的かつ不完全ではあるが、これまで分散品質に関するスケールアップの方法が試みられた。完全回答が得られないまでも、そこには種々の技術的指針が潜んでいる。実務者がこれらを熟知して、自分の実験もしくは操業の中に、この技術指針を旨く取り入れていくことが必要である。完全には当たらずとも遠からずの極意である。  本講演では、私の知る限りの前記「種々の技術指針」を伝えたい。私の経験しているいくつか応用実験及び解析情報は聞いていただく方々の今後の研究の参考になると思われる。一方、私はここ20年間、各分散過程の品質が、材料全体で一定に保たれる技術の開発を行ってきた。品質の均一性の実現である。せん断流動分散と異なるそれらを本講演で説明する。今後の技術展開の基礎にしていただきたい。

  1. 無機フィラーによるコンパウンド
    1. 無機フィラーのみを樹脂中に分散する場合の物性変化
      • 分散とは凝集破壊が主目的で、一次粒子の破壊ではない
      • 凝集粒子の被破砕特性
        • 粒子破壊における限界曲線と圧縮破壊の必要性
    2. TPRのみを樹脂中に分散する場合の物性変化
    3. 曲げ剛性と衝撃強度を同時に向上させる混練
      • 3元樹脂 (Polymer, Elastmer, 無機Filler) による実現
        • 一括混練法とエラストマー混練法の違い
        • タンデム混練方法と混練エレメントを工夫した2軸押出機混練方法
      • 無機フィラーの粒子径を小さくする場合の特性
      • Sub-micron分散、Nano分散の実用化:3元樹脂に代わる技術
      • 無機フィラーのみの混練で、曲げ剛性と衝撃強度が同時に向上する
        (これが目的とするNano分散である)
  2. なぜナノ分散によって曲げ剛性と衝撃強度が同時に向上するのか
    • Bound Polymer, Rubber発生のメカニズムと補強特性
    • EPR添加の場合の強度発生のメカニズムと補強特性
    • 必ずしも (ナノ分散=強度向上) ではない。その理由。
    • Sub-micron分散でも強度向上効果は得られる。
  3. 2軸押出機と連続混練機
    • 2軸押出機と連続混練機のせん断特性
    • 2軸押出機に傾注する現在の混練分野の盲点
      • 充填混練 (2軸押出機) の高速化の落とし穴。
    • せん断機種の補われるべき技術特性
  4. せん断流動分散では、なぜ品質相似実験が出来ないのか
    1. 1スケールアップ
      • 挙動の相似と品質の相似
      • 高分子分散で分散品質に係わる相似則が応用できない理由
      • 緩和則の理解と応用
      • 有効混練時間の考え方
      • 分散パラメータとこれを緩和則へする応用技術
      • 従来の分散パラメータと新しい分散パラメータ
      • 解析要因のα1、α2の解析の実際
      • カーボンブラック分散での応用例
    2. α1、α2解析法を用いた2軸押出機の操作特性
      • せん断品質平面の表示と品質等価曲線
      • 各種材料に対する品質等価曲線の特性
      • その法則から外れる材料特性 (たとえばCB)
    3. せん断流動分散の不均一性を補う緩和則の実際
      • 混練の有効時間に寄与する要因
      • T関数の解析と応用
      • 真空混練技術
      • 黄金分割理論
  5. 伸長流動分散では、ほぼ均一分散ができる
    • Utracki理論と橋爪理論の違いと実証実験
    • Capillary numberの応用
    • せん断流動分散と伸長流動分散の適応領域
    • 均一分散の実際
    • Nylon中へのHDPE分散への応用
    • 2種エラストマー分散への応用
  6. 分散における不均一性内在技術とほぼ内在しない技術
    1. 内在技術の代表:せん断分散技術
    2. ほぼ内在しない技術
      • コンパウンド系:スラリー分散技術、プルトルージョン技術
      • ポリマーブレンド系:伸長流動分散技術
  7. ナノ分散技術の応用
    1. 無期ナノ分散が得られる4方法とその評価
      • In situ法
      • 層間挿入法
      • 高せん断法 (産業技術総合研究所)
      • スラリー分散技術 (橋爪)
    2. 均一分散か否か
  8. 完全均一分散技術の例:長繊維ペレット成形技術の実際
    • 全く新しい分散概念 (非せん断流動分散、非伸長流動分散)
    • PPGの物性、曲げ剛性と衝撃強度を同時達成
    • アスペクト比の大きい繊維を残すFRTP応用技術
    • 自動車部品への応用
    • 世界1000億円市場への展開

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん
140-0011 東京都 品川区 東大井5丁目18-1
品川区立総合区民会館 きゅりあんの地図

受講料

複数名同時受講の割引特典について