本セミナーでは、電池や自動車・ディスプレイ分野などの応用展開が期待されているフッ素について、基礎から解説いたします。
フッ素が持つ、難燃性、耐熱性、耐薬品性、電気特性、撥水撥油などの機能を活かした応用動向についても解説いたします。
~有機フッ素化合物の分子特性と化学反応性について~
(2013年6月14日 10:30〜12:00)
京都工芸繊維大学 大学院工芸化学研究科 物質工学部門 教授 今野 勉 氏
フッ素原子を有する有機分子の構造、性質、そして化学反応性は、フッ素原子の導入数に著しく依存する。実際、フッ素原子導入数が大きく異なる分子どうしでは、全く異なる分子として振る舞うように感じられる。 しかし、一見異なると感じられるそれらの分子の性質も、実はフッ素原子のいくつかの基本的性質に起因しており、そうしたフッ素原子の性質を正しく理解し、活用することができれば、所望の性質を有するフッ素化合物を、容易に合成することが可能となる。 本講演では、低分子から高分子まで、様々な有機フッ素化合物を取り上げ、フッ素原子がもたらす特異性を概観する。
(2013年6月14日 12:45〜14:15)
弘前大学 大学院理工学研究科 教授 澤田 英夫 氏
フッ素系高分子材料は従来、フッ素の互いに反発する機能を活かすことにより、撥水・撥油剤を含め数多くの分野への応用展開がなされてきた。一方、我々の研究グループでは最近、フッ素系高分子材料において特異な分子設計を基に開発されたABAトリブロック型フッ素系高分子化合物におけるフッ素は反発するのではなく、逆に凝集しナノサイズに制御された新しいタイプのフッ素系高分子ナノ粒子を構築することを見いだした。 そこで、本講演ではこれら新しいタイプのフッ素系高分子ナノ粒子の調製とナノコンポジット化への応用、さらには汎用の有機化合物の不燃化への応用展開について我々の研究グループにおける最近の研究成果を中心に述べる。
(2013年6月14日 14:30〜16:00)
旭硝子 (株) 化学品カンパニー 技術統括本部 開発部 機能商品開発室 西 栄一 氏