本セミナーでは、圧電発電での基礎から解説し、PZT系、非鉛系圧電材料技術動向から応用展開の見通しまで、3名の講師が解説いたします。
(2013年5月29日 11:00〜12:30)
セラテックエンジニアリング (株) 代表取締役社長 岡本 正昭 氏
圧電発電の特徴は自立型電源でバッテリーレスであることと、メンテナンスフリー、耐久性に優れており、防水加工処理をすることで耐水性を確保することが可能であることがあげられる。発生する電力はソーラー発電、風力発電等と比べると比較にならないほど小さな電力だが、アプリケーション次第でエネルギーハーベスト電源として限られた市場では便利エコマイクロ発電器となる。 当社では、衝撃、振動を受けて発電するため、当社の圧電発電ユニットはインパクトバッテリー (INPACT BATTERY) として商標登録をしている、本セミナーでは、如何に効率良く発電させるかをアプリケーションに組み込んだサンプルで、インパクトバッテリーの応用例を説明する。
(2013年5月29日 13:20〜14:50)
山梨大学 大学院 医学工学総合研究部 教授 和田 智志 氏
PZTを超える圧電特性を非鉛系セラミックスで実現する、つい最近まで夢物語で絶対に無理だと考えられてきたこの定説が今覆されようとしている。 そこで、この講演ではPZTの高い圧電特性の起源である微構造を説明し、その上でPZTの圧電特性を超える理想的な微構造を提案し、それを実現する手法を説明する。
(2013年5月29日 15:00〜16:30)
千葉大学 機械工学科 教授 浅沼 博 氏
最近、構造材料にセンサやアクチュエータ等の機能を同時に発現させる「スマート機械材料システム」が注目されている。その背景に有るのは、いわゆるスマート材料、インテリジェント材料であり、圧電材料はその代表的存在である。 圧電セラミックスは、優れたセンサ・アクチュエータ材料、電気・機械エネルギー変換材料であるが、非常に脆弱であるという欠点がある。 しかし、その用途は過酷な環境へと急速に拡大しつつあり、材料としての脆さの克服、デバイスとしての耐久性向上等が急務となっている。 このような要請に応えるため、浅沼らは自ら発明した「界面層形成・接合法」により、圧電セラミックス繊維をアルミニウムに複合化することに世界で初めて成功し (日本、ドイツ、韓国で特許成立済) 、構造簡略化、金属マトリックスによるセラミックス保護のみならず、材料作製時に負荷される圧縮熱残留応力による動作ひずみの拡大をも実現し、NASA、Fraunhofer、産総研等に所属する内外の超一流研究者から、高い評価と研究協力を得ている。 本セミナーでは、圧電素子の高機能化に向けた浅沼らの研究成果、すなわち新圧電複合材料の画期的創製プロセス、その特性および実用化に向けた取組みを中心に解説する。