基調講演 : グローバル開発で日本企業が目指すべき方向性を探る
(2013年5月29日 10:15〜11:30)
一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 理事長 薬学博士 土井 脩 氏
2000年代に入り、新薬開発を取り巻く環境は国際的に大きく変化しつつある。その中で、欧米の製薬企業は生き残りをかけて新たな方向への変換を試みている。わが国に対しては今後とも世界の新薬開発の一翼を担うことが期待されている。
医薬品を取り巻く国際的環境はどのように変化しているのか、日本の薬事行政はその流れに対応できているのか、その中で企業の選ぶべき路は何かを考える。
- 日本は新薬の開発や審査において如何に国際的な役割を果たすべきか。
- 日本は3極の一つとして何ができるのか。
- 日本が抱える開発や審査等の問題点は何か。
- 日本の審査は発展途上国型の審査から抜け出せるのか。
- 世界最先端の審査リスクをとる覚悟は行政にあるのか。
- なぜグローバル試験が必要なのか。
- 日本はグローバル開発の流れの中で、どのような位置を占めるべきなのか。
- アジア治験はどのように位置づけられるべきものか。
- 現行のアジア治験にアジアの人達は満足しているのか。
- 日本の審査はグローバル開発に対応できるのか。障害にならないか。
- 早期開発・承認実現のために条件付き承認制度を活かせるか。
- 審査のリスクをとる覚悟は行政にあるのか。
- 日本の審査を改善するための7つの処方せん。
- 日本の安全対策の問題点は何か。定性型から定量型への大転換は可能か。
- 日本の独自の安全対策はグローバル開発の障害にならないか。
- 早期開発・承認実現のために市販後安全対策を如何に活かすか。
- 安全対策でリスクをとる覚悟は行政にあるのか。
- 日本の安全対策を改善するための7つの処方せん。
- ブロックバスター型開発から医療ニーズ対応型への転換はなぜ必要か。
- 集団を対象とした医療から個人を対象とした医療への転換に日本はついて行けるのか。
- 患者主体の医療や開発・安全性に向けた国際的な動きに日本は対応できるのか。
- 国際的な医療技術評価 (HTA) 強化の動きに日本は対応できるのか。
- 国際的なオーファンドラッグ・難病薬開発への国際的な動きに日本は対応できるのか
- 国際的なDrug Repositioning手法の開発への導入の動きに注目を。
- わが国の優れたDDS技術を如何に国際的な新薬開発に生かすか。
- 質疑応答
セッション1: グローバル試験での臨床オペレーション工夫
~調和できるところとできないところの解決方法~
(2013年5月29日 12:15〜14:00)
中外製薬 (株) 臨床業務推進部 副部長 藤原 英城 氏
- 臨床オペレーションにおける実践上の問題点
- グローバル治験における問題点
- 全般的問題点
- グローバル治験実施の臨床チーム体制構築のタイミング
- CRO 使用時の問題点
- 解析計画書・治験総括報告書 (CSR) レビューへの参画
- 臨床データセットの入手
- モニターの仕事量
- グローバルチームとのコミュニケーション・連絡方法の標準化
- グローバル治験の経験と早期治験参画の重要性
- グローバルとの相互理解不足
- 臨床オペレーション特有の問題点
- 国際協調できると思われる問題点
- 工夫して国際協調できる問題点
- 国際協調が難しい問題点
- これらを解決するために
- 基本的考え方,体制及び環境の整備
- 全般的問題点の解決方法
- 早急なグローバル治験参画の意思決定
- 治験開始までのチェックリストの作成
- グローバルチームとの連携構築
- 具体的臨床オペレーションの問題点の解決方法
セッション2: アジア治験の実際
~医薬品グローバル開発における日本内資系企業のアジア治験マネジメント~
(2013年5月29日 14:15〜16:00)
第一三共 (株) アジア開発部 主任 野々垣 篤 氏
医薬品のグローバル開発において、アジア地域の貢献が大きくなっている。本講義では、開発プログラムや、臨床試験実施において、アジア地域がどの様に貢献できるか、日本内資系企業の立場でその経験を紹介する。
- アジア地域の医薬品開発
- 人口、医薬品市場
- アジア地域での国際共同試験の実施状況
- グローバル試験におけるアジアコホートの割合
- 臨床試験実施環境
- GCP、治験実施医療機関、IRB
- Quality, cost, and speed
- 開発戦略
- アジア開発戦略の変化と実例
- 各国のIND, NDA要件
- Feasibility study
- 試験のマネジメント/Oversight
- Team structure for study management
- Global operation and local operation
- Sponsor local offices の活用
セッション3: 国際共同治験、アジア地域国際共同治験データを利用した医薬品の製造販売承認申請について
(2013年5月29日 16:15〜18:00)
アボット・ジャパン (株) 薬事本部 部長 植村 昭夫 氏
薬制当局の積極な奨励のもと、製薬企業各社において日本を含む国際共同治験を利用した世界同時開発が進められているが、本講座では現時点での薬事規制を整理し、開発戦略策定から治験の実施、承認申請を行って承認を取得するまでの薬事関連業務について総括的な解説を行う。
また、全世界を対象とした国際共同治験と、アジア地域国際共同治験の違いとその活用の仕方についても考察を加える。
- 国際共同治験に関するガイドライン
- 国際共同治験デザインの要件
- 日本人症例数
- 国際共同治験を用いた申請データパッケージ
- 民族差の評価
- 用量設定の根拠
- 最短の開発計画を作るには
- 国際共同治験を利用した申請をサポートする社内体制
- アジア地域における国際共同治験
- 世界同時開発を目指した開発戦略の策定
- 種々の治験計画選択肢からの選び方
- 将来の薬事規制の展望