2G時代のモバイル業界では、市場の中心はGSMの標準化を果たした欧州市場や欧州の関連事業者が成功をおさめ、米国市場は存在感が薄くなっていた時期であった。しかし、iPhoneによるスマートフォン市場の急速な拡大や、いち早く展開したLTEの本格展開など、米国市場はこの数年、一気に注目を集める市場に変わってきた。 加えて、ソフトバンクによる第3位の携帯電話事業者であるSprint Nextelの買収により、競争環境の大きな変化が起こることで、市場がさらに新たな方向性に急成長していく可能性もある。従来、米国市場への参入が遅れていた関連各業界のプレイヤーにとっても、ソフトバンクによるSprint Nextelの事業展開を機会ととらえることで、成熟した日本市場からの脱出に向けた有望な一手となる可能性がある。 本講においては、米国市場の最新動向を整理し、今後の市場の変化と進化について予測を行った上で、関連業界のプレイヤーにとって、参入に関するポテンシャルがどの程度存在するのか明らかにすることを目的とする。さらに、ソフトバンクによるSprint Nextelの事業展開に関するシナリオを設定し、ソフトバンクが参入することでどのような市場へのインパクトが想定されるか、考察を行う。