第1部 リチウムイオン電池における正極の劣化機構とその対策
(2013年6月4日 10:00〜12:00)
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 助教 棟方 裕一 氏
リチウムイオン電池の信頼性を高める上で、構成部材の劣化メカニズムを知ることは重要である。電極活物質の劣化、電極活物質/電解液界面の変性、コンポジット電極内のイオンあるいは電子伝導パスの切断など、リチウムイオン電池の性能低下を招く要因は様々である。
本講演では、正極の劣化機構に着目し、その分析手法と対策を述べる。
- リチウムイオン電池の劣化とは
- リチウムイオン電池の構成部材
- 電池の性能を低下する主な要因
- 電極の劣化とは
- コンポジット電極の劣化
- 電極活物質の劣化
- 界面の変性
- 劣化機構の解明
- 主な分析手法とその特徴
- その場測定の重要性
- 各正極材料の分析事例
- 劣化の抑制
- 組成の検討
- 形状の制御
- 表面修飾
- まとめ
第2部 リチウムイオン電池劣化抑制のためのバインダーの種類と特徴、耐熱セパレーターの活用方法
(2013年6月4日 12:50〜14:50)
日本ゼオン (株) エナジー材料事業推進部長 脇坂 康尋 氏
バインダーは単に「結着する」という機能以外に、塗料化、塗工などのプロセスにおける機能、電気化学的な安定性などに起因する電池特性への機能など様々な役割を持つ。
本発表では、電池の寿命劣化への影響を踏まえ、バインダーのプロセス的な役割、電池内部での電気化学的な特性を解説する。特に、電極内部でのバインダー劣化機構と解析結果、そのセル内部での影響や、耐熱セパレーターに用いられる特殊なバインダーによる寿命劣化抑制な最新技術動向も交えて、詳しく解説する。
- リチウムイオン電池におけるバインダーの機能と役割
- プロセス面における機能と電池寿命
- 電池特性における様々な機能
- バインダーの電気化学的な特性と電池寿命の関係
- バインダーの電気化学的特性
- 電極直接観察によるバインダー劣化機構の解明
- .正極用バインダーの種類と特徴
- 溶剤系バインダー
- 水系バインダー
- 正極用バインダーの電池性能への影響
- 負極用バインダーの種類と特徴
- 溶剤系バインダー
- 水系バインダー
- 負極用バインダーの電池設計への影響
- 新しい電池設計
- Si系活物質のバインダーによるマネジメント
- 耐熱セパレーターを用いた電池劣化の抑制とその機構
第3部 リチウムイオン電池における電解液の劣化メカニズム
(2013年6月4日 15:00〜17:00)
LIB技術アドバイザー&コンサルタント 中島 薫 氏
LIBは携帯電子機器用電源の成功に加えて、EV、ESSの市場が開けようとしており、その重要性が増している。EV では10年以上の長期寿命に加えて、使用温度範囲が広く、大電流使用は継続して必要であることから、劣化抑制条件は一段と厳しい。
電池劣化に大きくかかわる電解液の劣化について、電池メーカーの視点に立って、そのメカニズムをどう捉え、抑制技術がどうあるべきかについて論ずる。
- LIBビジネスの現状と将来展望
- LIBの技術
- 動作原理
- 材料技術
- 製造プロセス
- セルの形態
- エネルギー型とパワー型
- 高容量LIB
- 高出力LIB
- 要求特性
- 電池劣化
- LIB用電解液
- 電解液溶媒の性能とイオン伝導性、電池特性
- LIBの劣化~電位窓、電解液構成物質の還元反応、酸化反応、SEI形成反応メカニズム、劣化要因
- 電解液と電極構造
- 電解液と他材料
- 電解液の評価
- LIBの将来展望
- 高容量化、高出力化と電解液技術
- 長寿命と電解液技術
- 電解液の高性能化
- まとめ