本セミナーでは、「低品位炭利用技術」についてクリーンコールテクノロジーの研究に関わる3名の講師が、これまでの歴史、現状、利用技術の動向について解説します。
(2013年5月30日 10:30〜12:00)
(財) 電力中央研究所 エネルギー技術研究所 燃料高度利用領域 主任研究員 山口 哲生 氏
石炭の可採年数は年々減少しており、燃料資源確保の観点から、今後、高品位炭に加えて低品位炭の利用が進むと考えられる。 我が国の主要な石炭輸入先である豪州やインドネシアは、高品位炭である瀝青炭以外に低品位炭の賦存量も多く、低品位炭の大部分を占める褐炭を利用する上で、高水分低発熱量、乾燥時の自然発火抑制などの課題を解決する必要がある。 これらの課題を解決するために様々な高品位化技術が検討されている。そこで、豪州やインドネシアの褐炭について性状や周辺状況や高品位化技術の開発状況について概説する。
(2013年5月30日 12:40〜14:10)
東京農工大学 大学院 工学研究院 応用化学部門 准教授 伏見千尋 氏 【講師紹介】
エネルギーのほぼ全量を輸入に頼っている日本において、化石燃料の安定的な確保は最重要課題の一つである。化石燃料のうち、石炭は埋蔵量が豊富で世界中に遍在しており安定供給が見込めることから、今後も日本にとって重要なエネルギー資源となる。中長期的には、石炭のうち約半分の埋蔵量を占めながらも現時点で利用が進んでいない低品位炭 (褐炭および亜瀝青炭) の高効率利用に向けての技術開発と利用戦略が必要不可欠である。 本講演では、クリーン・コール・テクノロジー (CCT) の中核を担う石炭のガス化技術を中心として、最新の低品位炭変換技術や高効率発電技術の動向について説明するとともに、低品位炭利用の際の大きな課題である水分除去・乾燥技術の最新動向についても説明を行う。
(2013年5月30日 14:20〜15:50)
(独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 新燃料グループ グループ長 鷹觜 利公 氏
褐炭、亜瀝青炭などの低品位炭は、水分および酸素含有量が多く、輸送における経済性と自然発火の問題から、現在ほとんど輸入されずに産炭地付近での熱源として低効率で利用されている。しかしながら、世界中の石炭確認埋蔵量のうち、約半分がこうした低品位炭であるため、今後アジア地域での石炭需要の急速な増加をふまえて、低品位炭を改質してそれをクリーンで高効率に利用するための技術開発が、グローバルの視点から重要な課題となっている。 本講演では、低品位炭を工業溶剤中で水素を使用しない条件で溶剤改質して、それをコークス用粘結材として利用する低品位炭原料化技術と、低品位炭そのものを水蒸気と二酸化炭素の混合ガスで700℃程度の低い温度で触媒ガス化して、合成ガスを製造する最新ガス化技術について解説する。