要求される性能と耐久性を満足する枚葉での開発結果を,ロール to ロール方式に拡張する場合、単なるスケールアップだけでなくロール状のプラスチックフィルムを使用することによる装置やプロセスなどに大きな課題に直面する。これらの課題は実務経験の科学的分析を通して普遍的な知識として体系化することにより克服できるものと考えるが,現時点では現場のノウハウや暗黙知により行われることが多い。
本セミナーにおいては、ロール to ロール方式による機能性フィルムの研究から生産にいたる技術開発,現場における製造管理など30数年におよぶ経験に基づく知見を整理・分析することで,本分野の課題と解決の手がかりを解説する。
- ロール to ロールの概要
- ロール to ロールとは
- ロール to ロールシステムが拓く世界
- ロール to ロールシステムで用いられる製造方法
- ロール to ロールのメリット、デメリット
- ロール to ロール式成膜技術の展開
- ロール to ロールプロセス開発のポイントと問題点
- 機能性フィルムの開発プロセス
- ドライプロセスによる成膜法の種類と特徴・長所/短所
- フィルム基板上の薄膜形成
- 膜形成プロセスと基本パラメタ制御
- 大面積基板への拡張
- ロール to ロール成膜要素技術
- 巾方向・流れ方向の膜厚、組成、構造の均一性制御
- 成膜中のフィルム挙動
- 基板への熱流解析,熱負け制御
- 付着力の改善
- ロール to ロール成膜装置・製造要素技術
- 成膜シミュレーション技術
- カソードおよびターゲット設計
- 成膜速度の限界、コスト、収率
- 薄膜形成の厚みの限界
- 欠陥 (膜外観や膜無し部分) の発生対策
- インライン測定による検査