低公害車の技術開発動向と将来展望

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国内での環境対応車は高額な電気自動車の開発が先行し、目下の市場強化として苦しい状況が続いていた自動車業界。一方で、ディーゼル車の改善と売上増による価値観の変化など、日本でもさまざまな種類の車両が注目・期待される気運が徐々に高まっています。  本セミナーでは石油代替エネルギーを燃料とする低公害車のうち「天然ガス自動車」「水素自動車」「DME自動車」に着目し、国内外の普及の見通しと市場・規制の動向、また技術開発について一日で把握できる構成といたしました。

第1部 国際エネルギー情勢と日本における自動車用エネルギーの将来

(2013年4月26日 10:00〜11:20)

(一財) 日本エネルギー経済研究所 戦略研究ユニット担当補佐 国際情勢分析第1グループマネージャー 久谷 一朗 氏

 自動車用エネルギーとしては、ガソリン、軽油、LPG、天然ガス、バイオ燃料、合成軽油、DME、水素、電気、といった多様なものが考えられる。  自動車本体の面では、それぞれのエネルギーに対応した車両の開発やエネルギー効率の向上が進んでいるが、自動車の将来を考えるうえではエネルギーの供給面で視点も重要になっている。例えば石油は、原油価格が歴史的な高値圏で推移しているほか、アラブの春やイラクに対する制裁といった地政学リスクが顕在化している。また天然ガスでは、米国のシェールガス革命が日本のガス価格に変化をもたらす可能性が活発に議論されている。  本講座は、こうした自動車用のエネルギー供給に係る国際情勢を整理し、日本における自動車用エネルギー供給の将来像と課題を述べる。

  1. 国内外のエネルギー情勢
    1. 石油を巡る国際情勢
      • 需要面
      • 供給面
      • 価格
    2. その他の自動車用エネルギー
      • 天然ガス
      • バイオ燃料
    3. 主要地域の情勢
      • アメリカ
      • 中国
      • 中東
      • ロシア
  2. 日本の自動車用エネルギー供給
    • 将来見通し
    • エネルギー供給に係る課題
  3. まとめ

第2部 天然ガス自動車を取り巻く最近の状況と普及への課題

(2013年4月26日 11:20〜12:40)

(一社) 法人日本ガス協会 天然ガス自動車プロジェクト部 技術企画グループマネージャー 平瀬 裕介 氏

 現在,わが国の自動車燃料のほとんどはガソリン,軽油などの石油系燃料に依存しているが,近年,米国を含む産ガス国を中心に天然ガスの自動車用燃料としての利用が拡大している.この背景には大気環境の改善,エネルギーセキュリティの確保,地球温暖化ガスの排出削減などがあるが,今後見込まれる非在来型天然ガスの生産拡大を受けて天然ガス自動車の普及はますます進むものと考えられる.  本講演では,世界と日本における天然ガス自動車の普及状況を概観し,最近の天然ガス自動車の技術開発動向と今後の展望について述べる.

  1. 天然ガスを取り巻く最近の状況
    1. 日本における天然ガスの位置づけ
    2. 世界における天然ガスの位置づけ
    3. 非在来型天然ガスの開発状況 (米国のシェールガスの状況)
  2. 天然ガス自動車とは
    1. 天然ガス自動車の種類
    2. 天然ガス自動車の構造
  3. 天然ガス自動車の普及状況
    1. 日本における普及状況
    2. 世界の天然ガス自動車普及状況
    3. 主要国の状況
      • 韓国
      • 米国
      • 欧州等
  4. 技術開発の動向
    1. 大型トラックの開発
    2. 天然ガスハイブリッド車の開発 (ヒュンダイ)
    3. Westport社 (カナダ) のエンジンの開発
  5. 国による取り組み
    1. 2013年度新規モデル事業
  6. 日本ガス協会の取り組み
    1. 大型トラックモニター制度
  7. 今後の普及に向けて
    1. 今後の普及に向けて
    2. 天然ガス自動車の位置づけの変化

第3部 水素自動車の開発と普及への課題 ~水素エネルギーと内燃機関~

(2013年4月26日 13:40〜15:00)

東京都市大学 水素エネルギー研究センター (HERC) 兼エネルギー化学科 准教授 山根 公高 氏

 水素エンジンと水素エンジン自動車の実用化開発を行ってきた経験から,水素燃料が内燃機関にふささしいことがよくわかった.水素燃料を利用した自動車の動力源としては,内燃機関が優れている理由を紹介する.  水素を燃料として利用する場合の安全性,貯蔵方法としての液体水素,それらを水素エンジン自動車としての合理性を示し,国内外研究内容,市場導入やインフラに関する課題・現状についても合わせ説明したい.

  1. 水素燃料の特性から見える水素エンジン
  2. なぜ内燃機関なのか、なぜ内部混合方式か
  3. 安全性の担保
  4. 液体水素の魅力
  5. 液体水素を自動車用燃料として搭載した内部混合方式  (高圧水素筒内噴射方式) 水素エンジンシステムの提案
  6. 液体水素内部混合方式 (高圧水素筒内噴射方式)  水素エンジンシステム
  7. 内外の水素エンジン研究状況
  8. 市場導入やインフラに関する課題・現状

第4部 DME自動車の開発と普及への課題

(2013年4月26日 15:15〜16:35)

(独) 交通安全環境研究所 環境研究領域 エクゼクティブシニアリサーチャ 佐藤 由雄 氏

 自動車用エンジンとして,燃料の多様性が高く熱効率の良いディーゼルエンジンは,ジメチルエーテル (DME) ,バイオマス燃料をはじめとするクリーンな合成燃料の時代が到来すれば,エンジンの排出ガスそのものがよりクリーンとなり,PMやNOxの後処理などの排出ガス低減装置を必要としない小型,軽量,経済的なディーゼルエンジンの時代を迎えることになるだろう。  ここでは,DMEをディーゼルエンジンの燃料として利用するための技術開発,そして実用化,普及させるための課題と対策について,自動車・部品メーカーや研究機関での研究開発事例などを含めて紹介する。

  1. DMEが自動車用燃料として注目された背景
    1. エネルギーとしてのDMEの歴史
    2. 多様な原料と製造技術,幅広い用途
    3. 代替燃料開発と排出ガス規制の進展
    4. 自動車用燃料としてのDMEの特徴
  2. DME自動車の技術開発動向
    1. DMEの燃料性状と燃焼特性
    2. DME燃料供給システム
    3. DME燃料噴射システム
    4. DMEエンジンの熱効率と排出ガス特性
    5. DME自動車の開発事例
    6. DMEトラック等の実証走行試験
  3. 海外での取り組み
    1. DME製造プロジェクト
    2. バイオマスからのDME製造
    3. DME自動車の開発状況
  4. 普及に向けた取り組みと今後の展望
    1. DME製造の事業化
    2. 自動車用DME燃料の標準化
    3. DME充填スタンドの安全基準の整備
    4. DME自動車の技術基準化
    5. 今後の展望-DME自動車の将来性

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