本セミナーでは、原子力発電の“ビジネス”動向を知り、
世界の原子力政策、発電所の新設動向、市場と技術の輸出入など、日本企業に関係ある話題を提供致します。
2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故以降、日本においては原子力発電推進政策に逆風が吹き、2012年5月5日には54基すべての日本国内の原子力発電所が稼動停止の状態となった。その後、2012年7月には関西電力の大飯原子力発電所の2基が再稼働したものの、それ以外の原子力発電所再稼働の目途は、自民党への政権交代後も立っていない。加えて、ドイツ、スイスをはじめとした一部の欧州諸国も脱原子力発電政策に舵を切っている。 しかしながら、世界を見渡すと、原子力発電所は2011年時点で431基、発電能力3億6,572万キロワットと基幹エネルギーとしての地位を維持している。中国、インドをはじめとしたアジア諸国は、急速に増加する電力需要への対応と地球温暖化防止、さらにはエネルギー源多角化とエネルギー安全保障の観点から、原子力発電所の新設を進めている。 アジアだけでも、2035年までに原子力発電所100基分に相当する1億キロワットの原子力発電所新設計画がある。中東産油国も、国内の貴重な石油・天然ガス資源は外貨獲得のために輸出に回し、国内で増加する電力需要は原子力発電に依存する考えを表明している。欧米においても、フランス、英国は原子力政策を推進している。米国は1978年以来34年ぶりにジョージア州で2基の原子力発電所の新設を2012年2月に認可した。 福島第一原子力発電所事故以降も、エネルギー安全保障、発電コストの安さから、先進国、途上国を問わず、多くの国で原子力推進政策は続けられており、その意味で「原子力ルネッサンス」の動きに変わりはない。むしろ、ベトナム、トルコをはじめとした原子力発電の導入を目指す国々は、原子力発電所事故を教訓とした日本の高品質の原子力発電開発技術と保守管理への期待が大きい。 日本は、ベトナム、ヨルダン、韓国、ロシア、トルコと原子力協定で合意し、さらに、インド、ブラジル、UAE (アラブ首長国連邦) 、南アフリカと交渉を行い、自民党政権は、ベトナム訪問にあたっても、日本の成長戦略の大きな目玉である原子力発電プロジェクトの海外展開を目指している。他方、アブダビの原子力発電所計画のように、韓国が価格の安さを武器に、日本にとっての強力な競争相手となってきている。 日本は、東芝、日立、三菱重工業をはじめとした重電メーカーが、BWR (沸騰水型軽水炉) 、PWR (加圧水型軽水炉) の両方の技術を持ち、電力企業は40年を超える豊富な保守・管理の経験を持っている。世界的な原子力発電推進政策の最新動向と日本企業にとってのビジネス・チャンスを、第一人者が明確に詳説する。