第1部 遮熱・断熱性ガラスの技術動向 ~自動車用遮熱ガラスを中心に建築用ガラスまで~
(2013年3月28日(木) 10:30~12:00)
セントラル硝子 (株) 硝子研究所 副参事 高松 敦 氏
窓ガラスに用いられるソーダライムガラスの基礎的な解説をしたうえで、自動車窓ガラスの種類、基本性能を説明し、近年、EV の電費やガソリン車の燃費向上、快適性向上アイテムとして注目されている遮熱窓ガラスを幅広く解説する。
また、同じく省エネルギーアイテムとして注目されている建築用の遮熱断熱複層ガラス (エコガラス) についても概説する。
- 窓ガラスの基礎
- ソーダライムガラスとは
- ソーダライムガラスの特性
- ソーダライムガラスの製板方法
- 自動車用窓ガラス
- 自動車用窓ガラスの種類 (合わせガラス)
- 自動車用窓ガラスの種類 (強化ガラス)
- 自動車用窓ガラスの製造方法
- 自動車用窓ガラスに求められる基本的特性
- 自動車用遮熱ガラス
- 遮熱性について
- 太陽光と熱の伝達メカニズム ○評価指標 (Tts)
- 従来の遮熱ガラス
- ガラス自体による遮熱 ○フィルムの貼合による遮熱 (単板ガラス)
- 膜形成による遮熱 (単板ガラス) ○PVB 樹脂による遮熱 (合わせガラス)
- 膜形成による遮熱 (合わせガラス)
- 遮熱ガラスを取り巻く昨今の状況
- CARB によるクールカー規制 (米国カリフォルニア州) ○求められる特性
- 遮熱ガラスの効果
- 新しい遮熱ガラス
- 建築用の遮熱断熱複層ガラス
- エコガラス (Low-E 複層ガラス) とは
- 代表的なガラス構成
- 評価の指標
- 光学・熱特性
- 省エネ性能・その他の効果
第2部 透明遮熱フィルムの技術的動向
(2013年3月28日 (木) 12:45~14:15)
住友スリーエム (株) コンストラクションマーケット事業部 コンストラクションマーケット技術部 五十嵐 麻ヤ 氏
ガラスの利点を損なわず、省エネ効果を有するウィンドウフィルムの仕組み及び効果を紹介する
- はじめに
- 空調負荷軽減の意義と手段
- 従来の窓ガラス用遮熱フィルム
- 最近の窓ガラス用遮熱フィルム (透明・赤外線高反射率フィルム)
- 赤外線の選択的反射による効果・意義
- 赤外線の選択的反射の原理
- 透明・赤外線高反射率フィルムの構造
- 透明・赤外線高反射率フィルムの種類
- 透明・赤外線高反射率フィルムの性能評価
- 明るさ・見え方~眺望性,開放感,透明性,採光性
- 遮熱性能
- 光の入射角と遮蔽効果向上の関係
- 省エネルギー効果・CO2削減効果 (実環境での測定)
- 節電効果
- 求められるその他の性能
- ガラス飛散防止性能
- 紫外線カット効果
- 今後の展開
第3部 窓用遮熱・断熱材料の試験・評価と応用事例
(2013年3月28日 (木) 14:30~16:00)
(財) 建材試験センター 経営企画部 企画部長 藤本 哲夫 氏
建築においてフィルムやシートは開口部や壁の内部あるいは屋上防水といった用途で用いられることが多い。特に開口部は直接日射が室内へ入る部分であるため夏季の冷房負荷や冬季の暖房負荷にとって非常に重要な部分である。
本講演では開口部を中心にフィルムの遮熱性、断熱性などの評価方法を解説し、フィルムやシートの応用事例として壁内部に設置した場合、屋上防水として用いた場合などを紹介し、その評価方法について解説する。
- 開口部の遮熱性能と断熱性能
- 開口部の評価と規格・規定
- 窓ガラス用フィルム、窓用コーティング材
- 光学的性能の評価 ~日射遮蔽性能と断熱性能
- 断熱性能の評価 ~熱貫流率測定方法
- その他の開口部材
- 熱線反射性能を用いた材料の評価
- 熱線反射材の放射率の測定
- 受光用の積分球を付属した赤外分光光度計
- 放射温度計 (赤外線カメラ) を用いた測定
- 部位としての評価
- 実際の建物に適用した場合の日射遮蔽フィルムの効果
- シミュレーションによる検証
- 冷房負荷削減効果
- 暖房負荷の検討
- 年間空調負荷
- 夏期における温度に関する効果 ~体感温度、表面温度
- 応用事例
第4部 建築窓ガラス用日射調整フィルムの開発と可視光線透過率の向上、制御
(2013年3月29日 (金) 10:00~11:30)
三晶 (株) 中央研究所 課長 古津 嘉伸 氏
「西日などの暑さ対策をしたい」,「冷房負荷を軽減したい」このような問題は通常の透明板ガラスでは対応できず,特殊なガラスを入れ替えるには高いコストとガラス工事の手間が必要になってしまいます。日射調整フィルムは大掛かりな工事が不要で,高い日射遮へい効果を発揮します。
ここでは日射調整フィルムの種類を説明し,その開発において気を付けなければならない点や色が明るくても暑さ (日射熱) をカットするフィルムの特性をご紹介します。
- 日射調整フィルム (JIS A5759)
- 日射調整フィルムとは
- 日射について (紫外線,可視光線,赤外線)
- 日射について (波長分布)
- 遮へい係数と日射熱取得率
- JIS A5759の日射調整フィルム
- 光学・熱的特性
- 赤外線カットと遮熱性能
- 日射調整フィルムの種類
- 日射調整フィルムの構造例
- 日射調整方法 (染色など)
- 日射調整方法 (IR吸収剤)
- 日射調整方法 (金属蒸着,スパッタリング)
- 日射調整方法 (その他)
- 可視光線透過率と遮へい係数の関係
- 日射調整フィルムの開発で留意すること
- グリーン購入法
- 日射吸収率と板ガラスの熱割れ
- 板ガラスの熱割れ
- 熱割れに影響する因子
- 板ガラスの種類
- 日射吸収率と熱割れの関係-1~4
- 日射吸収率と遮へい係数の関係
- マディコ 日射調整フィルム WINシリーズ
- 可視光線透過率と照度
- 可視光線透過率と遮へい係数の関係
- 可視光線透過率の高い日射調整フィルム
- マディコ WINシリーズ
- WINシリーズのフィルム構造
- WINシリーズの分光曲線
- WIN 70の日射遮へい効果
- 今後の展開
※当日の内容がプログラムとは若干変更になる可能性があります
第5部 熱線反射用セラミックス透明導電膜の開発動向 ~膜の特性、成膜と構造設計からのアプローチ~
(2013年3月29日 (金) 12:20~13:30)
(財) ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 エレクトロ・マテリアルグループ
ユニットリーダー 主任研究員 奥原 芳樹 氏
透明導電性セラミックスは、その広いバンドギャップによる可視光透明性と、高い自由電子密度による赤外反射性能を兼ね備える。
その性質を窓の遮熱・断熱に応用することで省エネルギーに貢献できる。しかしながら、これまでのセラミックス系透明導電膜の赤外反射性能は従来の金属系遮熱膜には及ばず、また高い自由電子密度をもち赤外反射に優れるIn2O3:Snなどでは高価な希少元素を必要とした。
我々は、Alを添加したZnO系において遮熱性能の向上を目指している。
赤外反射性能を高める方法として、添加するAlから効果的に自由電子を放出させる成膜法、および膜の構造設計からのアプローチについて紹介する。
- 熱線反射による遮熱技術とセラミックス膜
- 熱線反射による遮熱と省エネ・創エネ
- 熱線反射に適する材料とは
- 透明導電膜としてのセラミックス膜
- Al添加によるZnO膜の特性と熱線反射の向上
- Al添加ZnO膜の成膜方法: スパッタリング法の工夫で高性能化
- 光学特性 (熱線反射性能) と電子物性の関係
- 従来スパッタリング法による膜との比較
- ZnO膜中のAlの状態を調べる構造解析
- 周期的にAlを添加して熱線反射を向上
- 可視光透明性と熱線反射性のまとめ
- 今後の展望
- 塗布による導電性セラミックス膜合成の現状
- 断熱+遮熱による省エネ
第6部 スマートウィンドウの技術動向と調光ミラーガラス・シートの開発
(2013年3月29日 (金) 13:40~15:10)
(独) 産業技術総合研究所 サステナブルマテリアル研究部門
環境応答機能薄膜研究グループ長 吉村 和記 氏
ビルや乗り物における冷暖房負荷を大きく低減できる材料として、窓ガラス自身で日射を直接制御するスマートウインドウが注目を集めている。
様々な種類のスマートウインドウについて概説すると共に、透明から鏡に変化することでより大きな省エネルギー効果を持つ調光ミラーガラスについて、その原理及び開発の現状を詳しく紹介する。
- スマートウインドウ技術の特徴、現状と課題
- 様々な調光ガラス
- エレクトロクロミック・ウインドウ
- サーモクロミック・ウインドウ
- サーモトロピック・ウインドウ
- ガスクロミック・ウインドウ
- 調光ミラーデバイスの特徴と開発動向
- 調光ミラーとは
- 調光ミラー薄膜の作製と評価
- ガスクロミック調光ミラー
- エレクトロクロミック調光ミラー
- 耐久性の向上
- 様々な応用可能性
- 建物用ガラスへの応用
- 自動車ガラスへの応用
- 水素センサへの応用
- その他のデバイスへの応用
- 課題、今後の展開