耐熱透明樹脂における機能性向上と開発・技術動向

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電子・電気機器、表示、医療、光学分野で、主要材料である樹脂についての高機能化は高精度な製品応用のための必要不可欠な課題です。特に樹脂の耐熱性の向上、光学特性の制御はデバイスへの応用が可能であり、様々な分野の産業を支える技術となっています。  今回は透明樹脂の中でも主要な樹脂を4つ取り上げ、各樹脂の最前線で活躍されている講師にその開発・技術動向を徹底解説いただきます。

第1部 シクロオレフィンポリマーの分子設計と高耐熱化、特徴とその応用

(2013年5月16日 10:20〜11:40)

JSR (株) 四日市研究センター 第一プロセス技術開発室 主査 早川 俊之 氏

 シクロオレフィンポリマーの分子設計による高耐熱化について、モノマー構造やメタセシス重合・付加重合の重合方法の違いなどから概説する。また、シクロオレフィンポリマーの特徴とその応用について、耐熱透明樹脂「ARTON」を中心に概説する。

  1. 光学特性と耐熱性から見た光学用樹脂の位置づけ
  2. シクロオレフィン系ポリマーの化学構造
    • シクロオレフィンポリマー (COP) の特徴
    • ARTONの構造と物性上の特徴
    • ARTONの開発経緯、
    • モノマー構造とガラス転移温度
    • 水素添加による熱安定性
    • 高水添率化による熱安定性
  3. ARTONの物性
    • 屈折率波長依存性
    • 屈折率温度依存性
    • 屈折率吸湿依存性
  4. ARTONフィルムの特徴、 ARTONの応用例
    • 位相差フィルム;
      • 光線透過率
      • 位相差波長分散性
      • 位相差制御
      • 高弾性係数
      • 位相差発現性
      • 位相差安定性
      • 加熱による寸法変化率
    • 抵抗膜式タッチパネル付表示ディスプレイ;
      • 各種樹脂フィルムの代表特性
      • 抵抗膜式用ARTON-ITOフィルムの特性
      • 低位相差フィルムの特徴
  5. シクロオレフィン付加重合ポリマー
    • 高耐熱性を有するシクロオレフィンポリマーの報告例
    • モノマー構造・共重合量とガラス転移点
    • 触媒によるポリマー構造
    • 物性

第2部 PES (ポリエーテルサルフォン) の特性・応用技術及び透明耐熱樹脂としての位置付け

(2013年5月16日 12:20〜13:40)

住友化学 (株) 情報電子化学品研究所 上席研究員 グループマネージャー 岡本 敏 氏

 PESは、非晶性で高いガラス転移温度を示すポリスルホン系樹脂の一種である。その用途は、従来の電気・電子部品、各種OA機器部品、ランプまわりの部品、熱水周りの部品、塗料などをはじめ、膜、医療用品、エポキシ/炭素繊維コンポジットの靭性付与剤に留まらず、LCD、電子ペーパーなどのPM駆動ディスプレイ、液晶シャッター、タッチパネルなど透明基板へと広がりを見せている。  本講演では、最近のPES樹脂の高機能化技術の一端と透明樹脂基板への応用について述べる。

  1. PES
    1. 定義
    2. 合成ルート
    3. キャラクタリゼーション
    4. 熱安定性
    5. 基本特性
  2. PESの改質
    1. 化学修飾
    2. ブロックポリマー
    3. 特殊PES
    4. ブレンド (アロイ)
    5. エポキシ樹脂との複合化
  3. 工業化
    1. 企業化の歴史
    2. 需給動向
    3. 技術開発動向
    4. 応用例 (用途)
  4. 耐熱透明樹脂の動向とPESの位置付け
    1. 耐熱透明樹脂の中でのPESの位置付け
    2. PESフィルムと他の耐熱透明樹脂フィルムの比較

第3部 ポリカーボネートフィルム及び樹脂における 耐熱・光学特性の向上と応用事例

(2013年5月16日 13:50〜15:10)

バイエルマテリアルサイエンス (株) イノベーション事業本部 機能性フィルム事業部 担当部長 柿沼 孝一郎 氏

 スマートフォンやタブレット、更にはLED光源など近年の電子機器や電子デバイスの発達には目を見張るものがある。 これらの機器やデバイスではその特徴をいかんなく発揮するには透明性や高耐熱性、強靭性のあるマテリアルが求められる。  このようなマテリアルへの強い要望に対し対応できる有力な候補としてポリカーボネート樹脂がある。このセミナーではポリカーボネート樹脂の基本特性から、ポリカーボネートフィルムを含めた具体的な応用事例までわかりやすく解説する。

  1. はじめに
    1. 講師紹介
    2. 弊社ご紹介
  2. ポリカーボネート樹脂の概要と特徴
    1. 透明樹脂の概要と特徴
    2. ポリカーボネート樹脂の特徴
  3. ポリカーボネート樹脂の各種特性
    1. ポリカーボネート樹脂と他の透明樹脂の諸特性比較
    2. 難燃性とその評価方法、
    3. 耐熱性、光学特性解決のアプローチ
  4. 高耐熱ポリカーボネートフィルム、樹脂の応用例
    1. ポリカーボネート製 光学部品の実例
      • LEDレンズ用途への展開
      • 導光板への展開
      • 照明用途向けへの展開
    2. ポリカーボネート製 光学フィルムの具体例
      • 光拡散フィルム/拡散板の具体例
      • レンズフィルム/反射フィルムの特徴と具体例
    3. 樹脂の課題と対策
      • 信頼性・耐久性の課題と対策
      • 樹脂劣化の課題と対策
      • 信頼性試験
  5. 課題、将来展望

第4部 透明ポリイミド樹脂の分子設計と材料開発

(2013年5月16日 15:20〜16:40)

東邦大学 理学部 化学科 教授 長谷川 匡俊 氏

 最近、電子・光学デバイスの高性能化・高機能化・軽薄短小化の動向が激化していますが、これに対応すべく透明耐熱樹脂材料の研究開発が国内外で増々活発化しています。現在工業化されている超耐熱性樹脂のうち最も信頼性の高い高分子材料の代表格はポリイミドであり、すでに様々な用途で電気絶縁材料として適用されています。  しかしながら最近は耐熱性を犠牲にすることなく、ガラス並みの透明性に加えて従来のポリイミドが有していなかった複数の特性を同時に有する、高度にカスタマイズされた多機能性ポリイミド材料を求める声が年々高まっています。  本セミナーでは、用途毎に異なる複合的要求特性を如何にして達成するか分子設計上のアイデアについて提案し、私共が開発した透明耐熱樹脂の具体例について紹介します。

  1. 透明耐熱樹脂の必要性
  2. 高透明性、溶液加工性および熱可塑性を併せ持つポリイミド
  3. 高透明性、低熱膨張性および高弾性を併せ持つポリイミド
  4. 高透明性、低熱膨張性および溶液加工性を併せ持つポリイミドとその用途
  5. 透明耐熱材料の将来展望

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん
140-0011 東京都 品川区 東大井5丁目18-1
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