電気化学は、電極の上でおこる物質の酸化還元をさまざまな形で利用する。電極の上でおこる反応、すなわち電極反応を理解・解析することは非常に重要である。
サイクリックボルタンメトリーは、比較的簡単な操作で測定が行えるため、電極反応の解析にたいへん広く使われている重要な手法である。一方、測定によって得られた結果や測定中に起こっていることの意味については必ずしも十分に理解されていない場合も見られる。測定法の意味や反応系で起こっていることを正しく理解することは正しいデータ解釈の基本となり、それらの基礎があれば、さまざまな場合について応用範囲を広げることもできる。
本講座では電極反応の基礎を復習しつつ、サイクリックボルタンメトリーを中心に、関連する測定法を含めて、原理や解析法を基礎から解説する。
- 電極反応の基礎
- 電極系における平衡 ~ Nernstの式
- 電極反応はどのようにおこるか?
- 電極反応速度論 ~ Butler-Volmerの式とTafelプロット
- 物質移動過程 ~ 拡散方程式とCottrellの式
- 3電極測定とポテンショスタット
- サイクリックボルタンメトリー
- サイクリックボルタンメトリーとはどのような測定法か?
- 測定中に起こっていること!
- 測定結果からわかること!
- 測定の実際
- 電解液
- 電解セル
- 電極
- 条件設定の考え方
- ノイズ対策等
- 後続反応ある系 ~ 反応速度解析への応用
- 表面吸着種の酸化還元
- 超微小電極 ~ 非1次元系
- 関連する測定法
- ダブルポテンシャルステップ法
- 対流ボルタンメトリーと二重電極法
- in situ測定 ~ 分光電気化学法
- 電極反応の数値解析
~ 微分方程式の数値解法と電気化学系への適用 ~
- 電荷移動と物質移動の数学的記述
- 離散モデルの構築
- Cottrell プロットへの適用
- サイクリックボルタンメトリーへの適用
- 後続反応を含む系への拡張