(2013年3月15日 12:30〜14:25)
住友化学 (株) 生産技術センター 嘱託 清水 豊満 氏
懸濁重合においては、特に製品であるポリマー粒子形状、粒子径コントロール技術が厳しく要求される時代である。しかしながら、これらのコントロール技術は重合処方と重合反応器の形状・撹拌条件の所謂ソフトとハードとの組み合わせにより構成されており、更に重合の進行に伴って液滴の諸物性が経時的に変化するため、取り扱う系によっては非常に難しいものである。 ここでは、回分式懸濁重合撹拌槽のスケールアップにおけるポリマー粒子径制御の失敗例と成功例を紹介した後、これらの事例の経験を踏まえ、懸濁重合プロセス開発における検討項目チェックリスト並びに参考文献を紹介する。
(2013年3月15日 14:35〜16:30)
MNTC (技術コンサルティング) パートナー 工学博士 上山 雅文 氏
乳化あるいは縣濁重合法は、高分子 (樹脂) の主たる製法であり、製造技術として理論的にも技術的にもかなり確立された手法である。 一方、これらの製法は生成物が微粒子として生成する特徴がある。粒子化がおこるということは、バルク樹脂を作る目的では邪魔な話であるが、視点を変えると、微粒子であること自体が一つの機能であるので、機能性材料を直接得ることができることになる。 乳化重合法と縣濁重合法とを比べてみると、前者は化合物 (主として界面活性剤{乳化剤}) の化学的相互作用 (イオン的相互作用が主) 利用して、粒子径や表面・構造の制御を行うことになる。これらの化合物は、目的に応じて種々設計すれば、多岐の性質、性能を網羅できる。 一方後者は撹拌などの機械的 (物理的) 作用のみに頼ることになるので、表面の化学的性質の制御などは制限されることが多いが、原理は単純なので生産性には有利である。 本稿では、乳化重合法において、様々な手法を駆使、応用することにより、種々の性質・機能をもつ粒子の製法を解説する。また。縣濁重合においては、粒子径制御を目的とした、通常の手法とは異なる特殊な製法を紹介し解説する。 高分子微粒子は、まず高分子という基本材料であると伴に、粒子化することにより、自己流動性の発現や、形状因子を利用してスペーサなどの機能性が新たに期待できる。さらに、その表面や内部構造、あるいは粒子径と制御することにより、バルク樹脂では期待できない機能を獲得できる。 例をあげれば、流動性制御機能、帯電制御機能、溶融粘度調機能、スペーサやフィルタ機能付構成材料、多孔構成材などが考えられる。これらは既知の応用例の羅列であるが、現実の開発現場において、既存の樹脂材料では物足りない、あるいは必要な機能が得られないという状況になったとき、微粒化する、あるいは粒子の表面や内部構造を制御するといった手法を応用することにより、その解を得られる可能性がある。