微細藻類バイオ燃料の実用化と事業展望

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プログラム

第1部 微細藻類バイオ燃料製造の概要と主な事業化課題

(2013年2月27日 10:00〜11:20)

(株) デンソー 機能材料研究部 バイオ材料研究室 室長 福田 裕章 氏

 21世紀は、石油枯渇を前に自然エネルギーの多様化が進み、分散型エネルギー社会に移向すると考えられる。  その一方で、航空機や船舶など液体燃料が必要な輸送媒体は産業の発展に不可欠な存在であり、CO2排出のないバイオマスから作り出す燃料を産業化するのは人類にとて重要な使命である。  微細藻類は、農地に適さない場所でも培養することができ、食糧とも競合しない燃料源として期待されている。ここでは、油脂を蓄積する微細藻類をバイオ燃料源として利用、そして実用化するための課題と対策について、デンソーでの研究事例を含めて紹介する。

  1. 微細藻類バイオ燃料が着目された背景
    1. 微細藻類の研究の歴史
    2. 微細藻類バイオ燃料研究が着目された理由
    3. 微細藻類が油脂を蓄積する理由
    4. 微細藻類は救世主になれるのか
  2. 微細藻類バイオ燃料の事業化に向けた海外の取り組み
    1. 米国の研究開発動向
    2. 米国の想定する藻類ビジネス
  3. 微細藻類バイオ燃料製造を事業化する際の課題
    1. LCA計算
    2. 微細藻類の安全性確認
    3. 培養プロセス
    4. 回収プロセス
    5. 油脂抽出プロセス
    6. 燃料化プロセス
    7. 残渣の利活用
  4. (株) デンソーの取り組みと今後の展望
    1. デンソーの保有する微細藻類「シュードコリシスチス」
    2. 微細藻類の屋外培養施設
    3. 微細藻類の育種の取り組み
    4. 今後の展望

第2部 バイオオイル (炭化水素) 生産藻類「榎本藻enomoto-mo」の実用化への道 =その能力と可能性について=

(2013年2月27日 11:30〜12:50)

神戸大学 人間環境学科 自然環境論コース 教授 榎本 平 氏

 日本の池・ダムから採取した野生のバイオオイル (炭化水素) 生産藻類ボトリオコッカスは、研究室でそのまま培養しても増殖が極めて遅く、①遺伝子変異を高率に入れたり、②工業的事業化の可能なオイル (炭化水素) 生産は不可能であることは世界中の藻研究者に知られていました。  この限界を超えるべく独自の育種理論を立て、改良・育種を行い生まれたのが「榎本藻」です。その現在までの取り組みと可能性を提示したい。

  1. なぜ緑藻微細藻類がエネルギー革命を起こし得るのか
    1. 注目されるオイル生成微細藻類とは
    2. 微細藻類の作るオイルの性質とその利用の可能性
    3. 注目される微細藻類の可能性と限界:長所と弱点
    4. 榎本藻はいかに獲得されたか
    5. 榎本藻はその限界を越えれる素質を持ち得るか: 残された挑戦とは
  2. 日本における微細藻類オイル燃料の事業化に向けた試み:取組の幾つかの紹介
    1. 国内におけるオイル燃料生産微細藻類の研究:その消長
    2. いずれが生き残れるか
    3. 「榎本藻enomoto-mo」: その限りない可能性について
  3. 微細藻類バイオ燃料事業化の課題とそのbreakthroughを目指して
    1. 野外大量培養への挑戦へ向けて:その課題とBreakthrough
    2. 大量野外培養藻の回収の飛躍的改善の可能性:その挑戦
    3. 榎本藻におけるオイル抽出法のstrategy
    4. 榎本藻からの油脂抽出のプロセス
    5. 燃料化プロセスと生成物:その幅広い利用可能性
    6. 培養水と残渣の再利用:コスト低減化
  4. 我々の目指す「榎本藻によるバイオオイル事業化」の可能性
    1. 超えるべき課題①:品種改良レベルの課題と挑戦
    2. 超えるべき課題②:野外培養への挑戦
    3. 超えるべき課題③:回収システムの簡素化への挑戦
    4. 国家的プロジェクトへの課題

第3部 未利用廃熱を利用する微細藻類バイオオイルの省エネルギー抽出技術

(2013年2月27日 13:40〜15:00)

名古屋大学 大学院工学研究科 化学・生物工学専攻 助教 神田 英輝 氏

 微細藻類は、CO2の固定能力が高く、食物と競合しないバイオ燃料源になるという利点がある。しかし、バイオオイルをヘキサンで抽出するには、大量に含まれる水分が妨げになるので、乾燥が必要である。また、ヘキサンを蒸発して回収するための、エクセルギー率が高いエネルギー源が必要である。  乾燥を必要とするヘキサン抽出に代わって、近年、wet extraction が注目されているが、湿潤条件での細胞の破壊が必要である。しかし、省エネルギー性に優れた決定的な手法が無い。  今回、太陽熱温水や地中熱といった、エクセルギー率が低い未利用エネルギーを回収して、抽出のエネルギーとして再生する、新たなwet extraction 手法について紹介する。

  1. Dry extraction と Wet extraction
    1. 燃料生産事業に要する培養液の処理規模
    2. 粗脱水の課題
    3. 乾燥工程に対する議論
    4. Wet extractionの検討状況
  2. 既存の乾燥技術
    1. 乾燥技術における熱回収手法
    2. 熱回収技術の微細藻類への適用可能性
  3. エクセルギー再生型Wet extraction
    1. エクセルギー再生の概念
    2. エクセルギー率が低い未利用熱の有効利用
    3. エクセルギー再生型Wet extractionに求められる溶媒の条件
  4. DME extractionの取り組みと今後の展望
    1. DME (ジメチルエーテル) の概要
    2. DME extractionのプロセス概要
    3. DME extractionによるオイル収率・性状
    4. Botryococcus braunii への適用事例
    5. 今後の展望

第4部 諸外国の技術ロードマップおよび海外主要の微細藻エネルギー企業の動向から見た日本企業によるバイオ燃料ビジネスへの示唆 ~サステイナビリティの視点を中心に~

(2013年2月27日 15:10〜16:30)

ジェイ・フェニックス・リサーチ (株) 代表取締役 宮下 修 氏

 最新の微細藻類の大量培養・生産設備の高性能化・ビジネスの大きなトレンドを探るうえで、本講座では、①最新の諸外国の 微細藻類エネルギー技術のロードマップの動向、②開示情報を中心とした諸外国の微細藻類関連企業の動向の、二つの視点から整理を試みる。特に、昨年にU.S. National Research Councilが示した微細藻類エネルギーに関するサステイナビリティの視点等を用いて整理を試みる。  また、米国においては、ソラザイム社や微細藻類以外のバイオエネルギーベンチャー企業が数多く株式公開を果たしており、開示書類が豊富であり、日々株価によって企業評価がなされている。  当社として、数多くの藻類関係の調査業務で得た知識と、証券アナリストとして長年さまざまな産業調査、企業価値評価をおこなってきた観点から、それらの情報を分析し、そこから得られた知見から、日本企業による微細藻類エネルギー技術の実用化に向けた示唆を提示する。  また、参考資料として、最近上場されたユーグレナ社の株価形成動向を、米国の比較類似会社を参考に企業価値分析を試みる。

  1. 技術ロードマップ関連資料から見た微細藻類エネルギー技術のトレンド
    1. 最新の諸外国の技術ロードマップの内容の整理と結論
      1. 微細藻類の種類
      2. 遺伝子組み換えに対する考え方・規制動向
      3. 大量培養技術の課題
      4. 収穫・濃縮技術の課題
      5. 抽出・精製技術の課題
      6. 製品化における課題
      7. サステイナビリティに関する視点の整理 (U.S. National Research Councilが示した微細藻類エネルギーに関するサステイナビリティの視点中心に)
      8. 政策的な視点の整理
    2. 上記資料から見た、微細藻類エネルギー大量培養化のための技術的視点の整理
  2. 主要海外微細藻類エネルギー企業の技術経営戦略の整理
    1. 開示資料からみた主要海外微細藻類エネルギー企業の技術経営戦の整理
      1. 微細藻類の種類
      2. 遺伝子組み換えに対する考え方・規制対応
      3. 大量培養技術の課題
      4. 収穫・濃縮技術の課題
      5. 抽出・精製技術の課題
      6. 製品化における課題
      7. サステイナビリティに関する視点の整理
      8. 各企業が受けている政策的支援の整理
    2. 米国バイオエネルギー企業の株価評価から見た微細藻類エネルギー企業の位置づけ
      1. 主要上場バイエネルギー企業の技術戦略
      2. 主要上場バイエネルギー企業の株価評価
      3. 上記分析から見た証券アナリスト的に見た微細藻類エネルギー企業への投資魅力の整理
  3. 日本企業への示唆
    1. 世界の主要微細藻類エネルギー企業の動向と日本企業の取組の比較
      1. 開示資料を中心とした比較
      2. サステイナビリティに関する視点から見た評価の試み
    2. 日本が世界の微細藻類をリードするための示唆
      1. 技術連携に関する視点
      2. 諸外国の政策的支援から見た示唆
    3. ご参考資料
      1. ユーグレナ社のグローバルな視点で見た企業評価分析

会場

大田区産業プラザ PiO
144-0035 東京都 大田区 南蒲田1-20-20
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