化粧品開発における「触感の科学」

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プログラム

第1部 ~“触れる動作”の視点から~ 触動作特徴から見る化粧品の使用感・触感評価と官能評価との相関

(2013年2月22日 10:30〜12:00)

大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 秋山 庸子 氏

 触感はどのような物理現象によって引き起こされるのかを,“触れる動作”から読み解くことで,触感を制御できるようになり,感性に訴えかける化粧品の処方を設計することが可能になると考えられる。  本講では,まず毛髪や繊維製品の触感の事例をもとに,触感のメカニズムを記述する物理モデルを構築するための基本的な考え方を,分かりやすく解説する。  次に,皮膚浸透性を持つ化粧品の触感のような複雑な触感をモデル化する手法について述べる。  さらに,構築した触感の物理モデルの妥当性を検証し,それに基づいて材料設計を行う方法について,スキンケア,ヘアケア,繊維製品などの触感を対象とした実例を交えて解説する。

  1. 「触れる動作」の特徴をつかむ
    1. 「触れる動作」の解析手法
    2. 動作の特徴の抽出
    3. 触感の物理モデルへの落とし込み
  2. 触感をモデル化する (ヘアケア製品,繊維製品の事例をもとに)
    1. 触感の官能評価結果からの物理モデルの構築
    2. 物理モデルの妥当性評価
    3. 物理モデルを用いた材料設計の指針
  3. 複雑な触感の物理的因子を解析する (スキンケア製品の事例をもとに)
    1. 官能評価と機器測定の関係づけの手法
    2. 官能評価結果からの主因子の抽出
    3. 各因子と物理量の関係づけ
    4. 触感を再現するための機器計測のポイント
    5. 物理量による官能値の推定
  4. 触感の設計を行う
    1. 物理量と材料組成の関係づけ
    2. 材料の触感設計

第2部 ~“製品粘度”の視点から~ レオロジー手法を用いた使用感触評価とそのコントロール

(2013年2月22日 12:40〜13:40)

大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 秋山 庸子 氏

 製品のレオロジー特性は,使用感に密接に関係しているが,測定法や解析法を少し工夫することで,新たな情報を得たり,実際の使用状況に近い状態を反映したデータを得ることができる。  本講では,まずレオロジーの基礎的な考え方を解説し,それに基づいた応用編として,触感の定量化のためのレオロジー測定法,解析法を,ハンドクリーム,化粧水などのスキンケア製品や,シャンプーなどのヘアケア製品の実例を挙げながら紹介する。

  1. レオロジーとは
    1. レオロジー測定・解析手法
    2. レオロジーの物理モデル
    3. レオロジー測定で分かること
  2. 化粧品の使用感とレオロジー
    1. 化粧品の触感とレオロジーの関係
    2. 触感に特化したレオロジーの測定手法
    3. 触感に特化したレオロジーの解析手法
  3. レオロジーに影響する因子
    1. 触動作・塗布による影響
    2. 皮膚と化粧品の巨視的・微視的相互作用
    3. 着手時,塗り始め,塗り終わり,塗布後のレオロジー変化
  4. レオロジー測定に基づいた製品設計
    1. レオロジーと組成の関係
    2. レオロジー特性に基づく製品設計

第3部 ~“肌との摩擦”の視点から~ 化粧品に関わるトライボロジーと塗布触感の客観評価

(2013年2月22日 13:50〜15:20)

横浜国立大学 大学院 環境情報研究院 人工環境と情報部門 准教授 中野 健 氏

 化粧品の塗布触感は、皮膚の「摩擦」の中で生み出されます。摩擦に関わる諸現象を体系化する科学技術の分野は、「トライボロジー」と呼ばれています。  本講演では、化粧品に関わるトライボロジーの基礎を抜粋して簡単に解説しながら、塗布触感の制御や客観評価に向けて重要と考えられる情報を提供します。

  1. トライボロジー入門
  2. 接触の考え方
    • 表面粗さ
    • 見掛けの接触面積と真実接触
    • 弾性接触理論の使い方
  3. 摩擦の考え方
    • 静摩擦と動摩擦
    • スティックスリップ
  4. 潤滑の考え方
    • 潤滑の形態
    • 潤滑膜厚さの推定法
  5. 触覚とトライボロジー
    • 皮膚の構造
    • 触覚受容器
  6. 塗布触感の客観評価
    • ファンデーションの塗布触感

第4部 ~商品開発と官能評価の視点から~ 化粧品使用感における心地よさの分析と官能評価の客観性についての考察

(2013年2月22日 15:30〜17:00)

(株) 日本オリエンテーション SDP研究所 高橋 正二郎 氏 【元 (株) 資生堂】

 化粧品は使用感を中心とする感性価値の集積体であり、その使用感の心地よさは触覚という極めて特殊は機能をもつ感覚によって感じられる。  使用感や心地よさは官能評価法によって測定され、そのデータは種々の数理的解析を駆使して分析され、視覚化され、処方設計や情報開発に供せられる。  一方、測定の基盤となる官能評価法は心理学、生理学、統計学をからなる科学的所産であり、正しい活用と運用で科学的価値の保証をしていく必要がある。  今回は、化粧品の使用感の心地よさの分析をつうじて、化粧品評価の根幹である触覚における官能評価についての考察をしてみる。

会場

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135-0063 東京都 江東区 有明3-11-1
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