毎年1月のCESからNAB (ラスベガス) 、IFA (ベルリン) 、IBC (アムステルダム) 、CEATEC、InterBEE、そしてCESという映像関連展示会を巡回し、実際の放送関連業界のコンサルティングに従事している立場から、CES2013での主要なテーマになるであろう「4K」と「スマートテレビ」と「マルチスクリーン」の最新状況と2013年以降の展望を考察していく。 考察にあたっては、欧米の状況を踏まえつつも、日本ではどうなるか、何が現実的なのかという視点に重点を置く。「IPDC」「マル研」「NOTTV」の今後についても言及する。
※なお講義項目はCESの状況によって最新のものに変更することがあります。
CESでの展示内容は即日インターネットのニュースで速報されるのでそちらをご覧いただくとして、ここではこうしたファクトやスペックだけでは見えてこないその市場性や、12年連続で参加している定点観測的な視点や、その先に見え隠れするもの、また現場の雰囲気なども含めてお伝えしたい。
テレビ局はテレビ端末の開発や製造にはほぼノータッチでノーリスクのビジネスを行なってきた。一方ではテレビメーカーが機能として、アップルやグーグルのような企業がモノと絡めてさまざまなサービス提案をしてくる。 日本のテレビ局として参考にするべきもの、無視していいものをしっかりと見極めたい。
いま、テレビが売れないのは当たり前である。こうなることは最初からわかっていたことだ。 しかしそれを直視せずに3Dで誤魔化そうとしたがそれが不発に終わることもわかっていたはずだ。ではどこで勝負するべきか。下記の4Kとかスマートテレビとかいう「ネタ」は刻々と変化する。 それよりも重要なモノづくりとしての立場から今後のテレビを本音で考えたい。談合圧力団体ARIBについても言及する。
市場は創造するものである。コンシューマーに受け入れられるものであることと、作り手側に市場を形成せざるを得ない必然があればそれは案外簡単なことである。 いままさに4Kはそのフェイズにあり、視聴者メリットは明らかで、業界関係者がしっかりとしたビジョンと市場開拓メッセージを出していくことである。
欧米型のスマートテレビは私にはどうもしっくりこない。それは日本の地上波テレビ局を取り巻く環境が欧米と日本で大きく異なるからである。 そこで主に地上波向けサービスとして、「タイムシフトのリアルタイム編成」というこれまでのビジネスモデルも業務フローもほとんど変えることなく、最新テクノロジーによって視聴者の利便性を増すサービスについての考え方を披露する。
マルチスクリーン型放送研究会、通称「マル研」はグローバルな動きとは連動していないが、極めて日本的に現実解なマルチスクリーンサービスであると思う。 それはテレビ番組本編にはいっさい手を触れることなく、セカンドスクリーンだからこそ、ネットに対してはオープンであってもメインスクリーンはそのまま残るわけで、2次リンクまでといったクローズな発想から開放された点で日本においては画期的である。 このマル研の取り組みに、デジタルサイネージやネット上の配信を組み合わせた映像マーケティング・コミュニケーションを設計する必要性を述べたい。
CESでは変なものも多い。ことしの小ネタの中から見逃せない一品があればご紹介したい。