第1部 『ヒトPK予測における経験則及び生理学的方法の基礎』
(2013年1月31日 10:30~12:15)
日本たばこ産業 (株) 医薬総合研究所 薬物動態研究所副所長 博士 (薬学) 小村 弘 氏
ヒトでのクリアランスや分布容積の予測,それらに基づく血漿中濃度推移の予測は,開発化合物の選定や臨床用量の推定さらには投与計画の作成において重要な役割を果たしてきている。
これまで,製薬企業さらには大学の動態研究者によって様々なヒト動態予測方法が検討されてきている。
本セミナーでは、ヒト動態の予測方法について,経験則的な手法と生理学的な手法に分けて歴史的な流れを踏まえながら紹介する。
- CLの予測
- IVIVE
- 肝固有クリアランスの算出
- fu,incの算出
- CLの予測
- 経験則的アプローチ
- アロメトリック法によるCL予測
- 種々の方法によるCL予測
- IVIVEと経験則的アプローチの予測精度の比較
- Vdssの予測
- 生理学的手法と経験則的手法
- 予測精度の比較
- 血漿中濃度推移の予測
- 生理学的方法とDedrick法
- 予測精度の比較
- Decision treeの検討及び有用性
- 経験則的手法におけるExponentの有用性
- CL及びVdssの予測
- Dedrick法による予測
- 今後の展望
第2部 『前臨床データからヒトDDI予測のためのスクリーニング&シミュレーション』
(2013年1月31日 13:00〜14:45)
ラクオリア創薬 (株) 研究開発エグゼクティブ・ディレクター 薬学博士 嶋田 薫 氏
薬剤は単独より、併用して投与される場合が多い。薬物の体内動態に関する相互作用については、患者の薬物体内動態や併用薬を十分に把握していないと、予期せぬ結果 (薬効の低下、副作用、毒性) を招くことになる。
したがって「薬物相互作用、DDI」を前臨床の段階で「予測」し、適切な時期に必要なスクリーニング試験を実施することがプロジェクトの推進に必須である。本セミナーでは、ヒトPK予測の一環として重要な位置を占めるDDIに焦点をあてて、試験手法 (プロトコル) の紹介、判断基準 (クライテリア) と予測法についてわかりやすく解説する。
- (はじめに)
- 変化する医薬品研究環境。自分の研究の意義を再認識するのに役立つ成功・失敗事例を紹介。
- 薬物相互作用の現状
- 薬物相互作用の実態
- 薬物相互作用の分類
- 薬物相互作用とその評価系、判断基準、予測法解説
- 吸収過程におけるDDI (評価系・クライテリア・予測法)
- (a) 不溶性化合物の形成、胃内pH、胃内容物排出速度への影響
- (b) 能動輸送の競合阻害、トランスポータ (P糖タンパク質など) を介する相互作用
- © 吸収促進剤
- (d) 抗菌薬による腸内細菌叢の変化、その他
- 分布過程におけるDDI (評価系・クライテリア・予測法)
- (a) タンパク結合の置換
- (b) 血流量の変動、その他
- 代謝過程におけるDDI (評価系・クライテリア・予測法)
- 排泄過程におけるDDI (評価系・クライテリア・予測法)
- (a) 糸球体ろ過
- (b) 尿細管分泌、尿細管再吸収
- © 胆汁排泄、その他
- 薬力学的相互作用とその評価系
- (a) 共通の作用部位における相互作用
- (b) 異なる作用部位における相互作用
- © 薬理作用からは予測困難な相互作用、その他
- (おわりに)
※開発中止率 (Attrition) の改善に向けて。薬物動態研究・製剤研究者の活躍の展望。
第3部 『NONMEMによる臨床試験効率化のためのPK-PD のモデリング&シミュレーション』
(2013年1月31日 15:00〜16:45)
ファイザー (株) クリニカル・ファーマコロジー部 シニアマネージャー 鈴木 昭之 氏
NONMEMは、最も汎用されている非線形混合効果モデル解析に使用されるソフトウエアです。近年、NONMEMを用いたPK-PD解析結果が申請資料に含まれることが増えてきました。
本講座では、NONMEMを用いたPK-PD解析の基本的な内容を体系的にお話したいと思います。
- PD (薬力学) モデル
- PK-PD (薬物動態-薬力学) モデル
- NONMEM
- 非線形混合効果モデルとは (固定効果。変量効果)
- NONMEMの実行方法
- データセット作成方法
- 共変量探索
- PK-PDモデルのNONMEMでの記載方法
- シミュレーション
- 決定論的シミュレーション
- 確率論的シミュレーション
- 臨床試験シミュレーション
- Model based Meta-analysis