近年,持続可能な社会の実現に向けて,環境に負荷を掛けない材料の創製が盛んに行われている.このうち,天然繊維を用いた複合材料はその代表的な材料の一つである.
本講座では,天然繊維強化プラスチックの力学的性質を解説するとともに,最近の実用化動向について触れる.また同材料の最近の研究開発状況についても解説を加える.
- はじめに
本講座内容の大まかな概要を述べる
- 天然繊維の構造と強度特性
天然繊維のうち,実用化されている植物系天然繊維を取り上げ,その内部構造と力学特性について紹介し,強度上限値の発現可能性についても触れる.また,単繊維試験による評価方法についても解説を加える.
- 天然繊維強化プラスチックの力学特性
一般的な複合材料強化理論である,短繊維および長繊維強化メカニズムについて紹介するとともに,短繊維状および長繊維状天然繊維強化プラスチックの製造方法や力学的性質について解説する.
- 天然繊維強化プラスチックの実用化動向
実用化されている種々の天然繊維強化プラスチックを紹介するとともに,最近の動向についても触れる.
- 天然繊維強化プラスチックの可能性
天然繊維強化プラスチックがGFRP (Glass Fiber Reinforced Plastics) の力学特性と同等のレベルで発現されることを最近の研究動向から紹介し,将来の動向についても講師の考えを述べる.