熱の移動に関する知識は伝熱工学として理論的に体系化され,熱の概念を扱う熱力学とともに熱工学分野の重要な科目となっています.機械系エンジニアにとって伝熱の基本的な知識は必要不可欠と言えます.
本講座では、熱の本質から始まり、様々な伝熱の形態やそれらの応用として熱交換器、フィン、内部発熱問題などの伝熱理論を解説し、さらにExcelを用いて物体内部の非定常および定常温度分布を計算する簡便な方法を解説します。生産現場で発生する伝熱問題に応用することで、単純な問題なら高価な市販ソフトを使用しなくても簡単に伝熱解析が出来るようになります。
1日目:伝熱工学を全く学んだことのない方、基礎から復習を希望する方向け
伝熱工学を理解するのに必要となる基礎事項を概説します.2日目のExcelによる計算演習で取り上げる内容の解説を含んでいます。
第1部 伝熱の基礎
- 熱の本質と伝熱の3形式
- 伝熱の定義
- 伝熱の本質
- 伝熱の3形式
- 第2章 定常熱伝導
- 熱流束 (heat flux)
- フーリエの法則 (フーリエの式)
- 熱伝導率,λ
- 温度場
- 平行平板の熱伝導
- 円管の熱伝導
- 球状壁の熱伝導
- 熱通過
- 熱伝達率
- 平板壁の熱通過
- 円管の熱通過
- 伝熱面付着物の影響
- 熱交換器の伝熱計算
- 熱交換器の種類
- 対数平均温度差
- フィンの伝熱
- 温度分布の式と全放熱量
- フィン効率
- フィン付き伝熱面からの放熱量
- フィン付き伝熱管の放熱量
- 放射伝熱
- 放射伝熱の概念
- 熱放射の基本法則
- 二面間の放射伝熱
- 形態係数に関する法則
- 放射熱の遮断
- 沸騰
- 沸騰様式の分類
- 沸騰特性曲線
- 飽和温度と臨界点
- バーンナウト熱流束 [W/m2]
- 凝縮
- 凝縮の分類
- 凝縮熱伝達
- 物質拡散 (拡散)
- 拡散現象
- フィック (Fick) の法則 (拡散方程式)
- 内部発熱問題
- 内部発熱を伴う発熱体内部の熱伝導
- 発熱体が被覆されている場合の熱伝導問題
- 発熱体から液体への熱伝達
2日目:初日のコースを受講した人、および伝熱工学の基礎をすでにマスター済みの方向け
非定常および定常温度場における1次元および2次元の熱伝導問題を、Excelを用いて解く手法について解説し、実際にコンピュータを用いて演習を行います。
第2部 Excelによる非定常および定常熱伝導の計算演習
- 熱伝導方程式と差分近似
- 熱伝導方程式
- 差分近似公式
- 非定常熱伝導方程式の差分近似
- 直交座標系定常熱伝導の差分近似
- 直交座標系1次元非定常熱伝導の数値解法
- 差分近似式
- 無限平行平板の両表面温度 (境界条件) が一定の場合
- 多層無限平行平板の場合
- 対流熱伝達により無限平行平板の両表面温度が変化する場合
- 多層平行平板に一様熱流束が与えられ,反対側に対流熱伝達が存在する場合
- 応用 (1次元非定常熱伝導方程式を用いたモデリング)
- 直交座標系2次元非定常熱伝導の数値解法
- 差分近似式
- 計算方法
- VBAの利用方法
- 境界面温度が変動する場合の計算式
- VBAによる境界面温度の計算
- 応用 (周囲を冷却される正方形断面管の温度分布)
- 円柱座標系1次元非定常熱伝導の数値解法
- 円柱の表面温度が一定の場合の非定常1次元温度分布
- 円柱の表面温度が変化する場合の非定常1次元温度分布
- 直交座標系定常熱伝導の数値解法
- 直交座標系の差分近似式
- 直交座標系の1次元定常熱伝導
- 壁面温度が固定される場合の直交座標系2次元定常温度分布
- 壁面温度が固定されない場合の直交座標系2次元定常温度分布
- 応用 (二重被覆電線の2次元温度分布)
- 円柱座標系定常熱伝導の数値解法
- 熱交換器の定常熱伝導の数値解法
- フィンの定常熱伝導の数値解法
- 非定常拡散の数値解法
- 内部発熱問題
- 発熱体内部の熱伝導
- 発熱体が被覆されている場合の熱伝導問題