本テーマ「塗膜の付着性、強度評価と割れ・はがれ等の欠陥対策」を以下の観点から解説する。
- 液体、固体に拘わらず、全ての物体は粘弾性体である。第1章 (粘弾性から見た塗料と塗膜) では、強度に関係する粘弾性現象を取り上げる。例えば、固体の有するがんばり時間と作用時間との大小で固体の性質が強く出たり、液体の粘性が支配的になったりする。
- 塗膜は付着状態で、その強度を発揮する必要がある。第2章 (付着性の話) では付着性を如何に確保するかを優先的に考える。
- 塗膜は流動状態の塗料から出発するため、塗膜という固体に成ったら、一般的に体積が減少する。このため付着状態の塗膜には引張り力が、被塗物には圧縮力が作用し、残留することが多い。この状態を可視化した内部応力の測定方法を説明する。考えるよりも測定することを優先してほしいという講師の思い入れがある。内部応力を低減する塗料設計について解説する。 (第3章)
- 固体の塗膜に求められる物性とは、第4章に述べるように、 (1) 付着性 (2) 耐傷付き性 (3) 耐屈曲性 (4) 耐衝撃性 (5) 耐候性などであり、 これらを総称して、付着塗膜の強度と呼ぶ。この強度を解析するために、我々は粘弾性をベースにして、立ち向かうことにする。塗膜は塗装系という塗り重ねチームワークで勝負している。膜厚方向の物性傾斜は重要であることを第4章で述べる。
- 第5章では、欠陥事例を取り上げ、どのように対策するかを述べる。色や意匠性の問題も重要であるから、白化現象も取り上げる。
塗装寿命とは膜厚だと思っている方がいます。それゆえ100年塗装のようなフレーズが飛び交っています。どんなものでも誕生から成長過程を経て、寿命を迎えます。その間、いろいろな要因で病気になったりしますが、病気 (欠陥) は自然現象で、サイエンスとして捉えて行けば解決策が見えてきます。本セミナーを受講されることによって、塗装系 (下塗り、中塗り、上塗り塗料の組み合わせ) や塗膜強度に対する見方をPower upして頂くことを目指します。なお、本セミナーの実施は6H程度であり、この時間内で上述した技術を身に付けることはできないと思われますが、ものの見方を身に付けることは可能です。この力をバネにして、飛躍してもらいたいと期待しています。
- 第1章 粘弾性から見た塗料と塗膜
- 塗料の必要条件 – 塗れる・くっつく・固まる
- 粘弾性の用語とその意味について
- 液体の粘弾性を観察しよう – とろろ汁の引き上げ高さ
- 塗料に弾性を付与するメリット
- 塗料が受けるずり速度の求め方
- 固体の粘弾性を観察しよう – ボールのはずみ実験
- 塗膜の引張り強度が速度で異なる挙動を示すわけ (固体のがんばり時間と作用時間)
- 温度変化を速度に換算する法則 (WLF式) とは
- ポリアミド硬化エポキシ樹脂の配合と塗膜の構造 (架橋密度とガラス転移温度)
- 第2章 付着性の話
- くっつく力の発生
- 付着性理論
- 付着強さの評価・試験法
- 付着性に及ぼす要因とその影響
- 第3章 内部応力の話
- 身の周りの湾曲現象が意味すること
- 内部応力の測定法
- 内部応力に及ぼす要因とその影響
- 内部応力を低下させる塗料設計
- 内部応力が引き起こした鋼管用粉体塗膜の剥離事件とその対策
- 第4章 付着塗膜の強度を向上させる話
- 塗膜強度を支配する要因
- 塗膜の強さ – たわみ性・耐衝撃性の評価
- 塗り重ねによる膜厚方向への物性傾斜は可能か、そのメリットはあるのか
- ヘルメット用塗膜、皮革用塗膜に必要な物性とは
- 塗膜の破壊伸びに及ぼすTg分布 -
- リニアモーターカ – 用路面に対する塗料設計と試験評価法
- 第5章 塗料・塗膜の欠陥と対策
- 塗装系の割れ現象
- なぜ、割れたのか
- 割れ模様は作れるのか
- 水が関与する欠陥現象とその対策
- 白化 (輪染み) 現象とその対策
- 付着性の劣化を防ぐ対策
- 溶融亜鉛メッキ面に対する塗装系剥離事件の原因と対策
- 水性塗料の泡・はじきを止めるための添加剤の配合技術
- 質疑応答
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