日本の少子高齢化を背景に、製造業においては熟練技能者の高齢化や若手人材の離職により、技能伝承が困難となっている。こうした課題は全国的に見られるが、今回概念実証の対象とした富士市内の製造業においても例外ではなく、作業の属人化や外国人労働者との言語の壁が課題となっている。
そこで本取り組みでは、認知科学の視座からインタビュー設計と生成AIを組み合わせ、熟練技能者の暗黙知を効率的に形式知化する概念実証を産学官連携で実施した。熟練技能者の音声データからマニュアルの下書きを自動生成した結果、従来は長時間を要していたマニュアル化を2〜3時間で実現でき、熟練技能者の「コツ」や「感覚」の可視化にも大きな進展が見られた。さらに、多言語翻訳機能により、外国人労働者の理解度向上と現場の負担軽減も示された。
生成AIと認知科学を融合した本アプローチは、技能継承の在り方を大きく変える可能性を示しており、今後は他業種・他地域への展開も視野に入れている。
本講演では、この概念実証を通じて得られた知見をもとに、暗黙知の抽出・形式知化の進め方と、生成AI活用の可能性・留意点について解説する。
- 製造現場で技能伝承の必要性が高まっている背景
- わが国の製造業を取り巻く課題
- 熟練技能者の高齢化、若手人材育成、外国人労働者対応
- 技能伝承支援と製造現場DXへの期待
- 技能マニュアルのデジタル化が求められる理由
- 暗黙知をどう引き出し、形式知化するか
- 暗黙知とは何か、なぜマニュアル化が難しいのか
- 認知科学の視点からみた熟練技能者の「コツ」「感覚」
- 暗黙知を引き出すためのインタビュー設計
- 「コツ」「感覚」を言語化するための言葉の使い方
- 生成AIを活用した暗黙知抽出・マニュアル化の進め方
- どのような業務から着手するとよいか
- 誰に何を聞けばよいのか
- どのような問いかけで「コツ」「感覚」を引き出すか
- 動画・音声・メモなど、活用する情報の選び方
- 生成AIには何を入力し、どのように下書きを作るか
- AIで自動化できる部分と、人の確認が必要な部分
- 下書きマニュアルを現場で使える形に整えるには
- 多言語化や教育用途への展開可能性
- 概念実証事例から見えた効果・課題・つまずきやすい点
- 概念実証の概要と実施体制
- 熟練技能者の暗黙知を形式知化した結果
- 従来手法と比べた効率化・省力化の効果
- 多言語翻訳による現場教育支援の可能性
- 実際にやってみて分かったこと
- つまずきやすい点と、当初想定していなかった課題
- 実務で進めるための留意点と今後の展開
- 導入時に押さえるべき留意点
- 適用しやすい業務と適用が難しい業務
- 現場導入における限界と期待できる効果
- 今後の展開と他業種への応用可能性
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