ISO 13485:2016年版では「適切な場合」に「サンプルサイズの根拠を伴う統計的手法」が求められております。
本セミナーでは、ISO 13485:2016 及び改正QMS省令が要求する「サンプルサイズの根拠を伴う統計的手法」をリスクマネジメントおよびプロセスバリデーションとの関連で解説いたします。
また、サンプルサイズの計算に必要な統計学、Excelを用いた厳密計算方法とその計算例、ISO 16269-6とJISの抜き取り試験との相違点について解説いたします。
2003年版のISO 13485 では、設計開発検証・設計開発バリデーション・プロセスバリデーションのそれぞれにおいて、「検証」は要求されていたが、「統計的手法」という表現も要求事項もなかった。しかし、2016年版では上記3つの段階それぞれで「適切な場合に」「サンプルサイズの根拠をともなう統計的手法」が明確に要求事項 (shall) となった。 大変残念なことに、ISO 13485:2016の日本語対訳本の不正確な日本語訳は、ISO 13485:2016の要求事項の正しい理解の妨げになっている。特に「サンプルサイズの根拠=統計手法」というようなとんでもない誤解が広がっていることが懸念される。本セミナーではISO 13485:2016の「サンプルサイズ」に対する真の要求事項 (shall) について、ISO 13485:2016の英語版と発行元であるISO/TC210の示した「実践ガイド」の英語版を参照しつつその正しい理解について説明する。この理解に基づけば、どのような場合に「サンプルサイズの根拠を伴う統計的手法」が必要なのかは明らかになる。 このISO 13485:2016実践ガイドでは、目的とする解析に最も適した統計的手法を選択し、サンプルサイズは解析項目のリスクを考慮して必要な統計学的信頼度で立証するという原則が示されている。従って「サンプルサイズの根拠を伴う統計的手法」を考えるにあたっては、まずその解析の目的を明確にし、そのために適した手法を選択しなければならない。サンプルサイズの根拠については、選択した統計手法とその解析により立証しようとする統計学的水準によって決定するのであるが、その立証水準は、その項目ごとのリスクに応じて設定するべきであると実践ガイドは指摘している。つまり、サンプルサイズの根拠は実践ガイドのアドバイスに従うなら立証しようとしている項目に付随するリスク分析結果ということになる。 さて、「サンプルサイズの根拠を伴う統計的手法」が要求されるのは、設計・開発検証、設計開発バリデーションおよびプロセスバリデーションの「適切な場合」すなわち要求事項を満たすことの証明の場合である。設計・開発検証と設計開発バリデーションについてはそれぞれ、立証すべき項目 (要求事項) がそれぞれのインプットと対応しており明確であるが、プロセスバリデーションで最終的に立証すべきことは、製品規格に適合した製品を一貫して安定製造できることの立証であり要求事項はやや込み入ってくる。具体的にどのよう立証するべきかについてはISO 13485:2016 の実践ガイドのアドバイス内容と、実践ガイドで唯一引用されているプロセスバリデーションのGHTFガイダンスに沿って行うのがベストである。 統計的手法とそのサンプルサイズ計算方法については、限られた時間ですべての統計手法を網羅的に説明することは不可能である。このセミナーではISO 13485:2016に有効な統計手法の基本となる4つの基本的手法についてどのように統計学的判断をするか、またそのサンプルサイズはどのように計算するかをExcelの関数やRの関数を用いて説明する。 4つの基本的統計手法のうち、不良率の推定方法については、ISO 16269-6に示された方法 (ロット内不良率 (1-Reliability) を統計学的に推定する方法) を紹介する。これはJIS抜き取り試験と同じ統計学的計算に基づいている方法であるが、判断基準が全く異なる。この方法は近年、FDAがSelf-Life試験などの信頼性試験 (Reliability) で要求している統計学的手法である。この手法については、連続変数の場合と合否二値判定の場合に分けて説明する。連続変数については、高度な計算が必要となるが、ISO 16269-6に統計的許容区間係数の表があり、その表のReliabilityの範囲については簡単に「統計的許容区間」による不良率の推定・証明を行うことができる。合否二値の場合には、必要なReliabilityに応じたサンプルサイズをExcel関数で簡単に求めることができる。 最後に、ISO 13485:2016が求めるサンプルサイズの根拠の考え方を実践ガイドに基づき整理・確認する。サンプルサイズを減少させる方法とその是非についても触れる。
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