今後、安定な経済成長と同時にカーボンニュートラル社会の構築に向けた研究戦略の二本柱は「電動化技術」と「エネルギー革新」である。再生可能エネルギーの太陽発電や風力発電は基幹の大規模発電にはならないため、原子力に替わる核融合 (フュージョン) への期待が増している。核融合への民間投資の好循環が続いている中、近い将来、真に革新的なエネルギー源になりうるか?が今問われている。
政府が主導する国際協力ITER計画で代表される従来の核融合方式であるトカマク型の原型炉は2045年頃までに建設され、発電実証がなされる計画である。しかし、今世紀半ばのカーボンニュートラルの実現までに商業炉建設は間に合わない。そのため、北米ではゲームチェンジャーになりうる革新的核融合方式のスタートアップ企業に民間投資金額のほとんどが集中し、大きな期待が寄せられている。それらの企業の多くは2030年半ばには経済的な商用炉を実現することをミッションに掲げており、プラズマ生成からエネルギーの取り出しまで一貫したの炉構造の全体システムにおいて、経済性も含め画期的な技術を提案している。各要素技術開発に特化した国内企業とは異なるその炉実現への最短の道とは何か!?に注目したい。
本講演では、核融合の基礎から原型炉開発の技術課題点を示しながら、世界で40社以上にも増えつつある民間企業の開発技術の最新動向を概観する。特に、筆者が国際協力を通じて長年行ってきた革新的核融合方式の研究経験をもとに、ブレイクスルーのためのその爆発的なイノベーション技術を示し、コンパクトな核融合炉の実現の可能性について分かり易く解説する。これにより、それらの新興企業への投資や自社の技術参入の参考になれば幸いである。
- 核融合 (フュージョン) の基礎
- 脱炭素化時代のフュージョンエネルギー開発と国際協力
- なぜ、核融合発電の実現に時間がかかるのか?
- 核融合発電のしくみ
- 原子力 (分裂炉) 発電とどう違うのか? その安全性について
- 核融合開発はどこまで進んでいるのか?
- 核融合反応を起こす高温プラズマとは何か?
- 高温高密度のプラズマを磁場で閉じ込める方法とは?
- フュージョンエネルギーの取り出しの方法とは?
- 核融合スタートアップ企業への過熱する投資と支援
- 今なぜ核融合発電が注目されているのか?最近の話題について
- 核融合スタートアップへの巨額の民間投資と波及効果
- 核融合スタートアップを支援する組織と活動状況
- 米国、中国の核融合開発の動向
- 日本の核融合開発の特徴と動向
- 経済的でコンパクトな核融合炉に向けた技術課題と革新的アプローチ
- イーター国際協力で進展する大型トカマク型核融合炉の技術課題
- 従来のトカマク方式と異なる革新的核融合方式
- 装置中心に構造物のない簡素なプラズマ閉じ込め方式の利点
- 磁化ターゲットパルス核融合
- 高温超電導強磁場コイルの開発と現状
- 中性子フリーの魅力的な核融合反応の利用
- 海外の核融合スタートアップ企業のイノベーション技術
- 高温超電導コイルを用いた強磁場化によるトカマク炉の小型化
- 低アスペクト比化によるトカマク炉の小型化
- 中性粒子ビーム入射によるFRCの加熱と定常化技術
- 二つの磁化プラズモイドの高加速、衝突合体と急速磁気圧縮方式
- 磁化プラズマガンと圧縮ガス駆動ピストンを用いたプラズマの衝突合体圧縮技術
- 磁場コイルを用いない究極の小型パルス商用炉を目指したシアフロー安定化Zピンチ
- その他の多彩なアプローチによる核融合方式
- 循環する液体金属用いた新エネルギー回収
- 燃焼プラズマ周辺の炉工学的技術の開発技術
- フュージョン・イノベーション技術の産業化
- 高温超電導コイル
- 高電圧大電流パルスパワー技術
- 磁化プラズモイドの電磁加速システム
- 高パルスパワー熱負荷材料損耗試験装置
- レールガン 他
- 高繰り返し可能な高パワーレーザー
- 高パワーイオンビーム
- リチウム回収技術、マイクロ波金属精製技術
- 新材料関連
- その他
- まとめと今後の課題
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