「技術で勝って、事業で負ける」は、数年前から、日本が自らを自嘲気味に語る言葉として、使われるようになってきています。まさにこの言葉は、日本企業の研究開発テーマの創出と評価に関わるマネジメントの問題を表している言葉とも言えます。 現状での多くの企業の問題点が、研究開発テーマのマネジメントが、企画部門の「管理」のために使われていることです。研究開発テーマのマネジメントの目的は、企業の成長と高い価値の実現への大きな寄与にあり、全ての活動は、この目的に向けて実行されなければなりません。 今回は、この研究開発テーマの創出と評価に関わるマネジメントをテーマとしました。まず、研究開発テーマのマネジメントの経営的な意味合い、目的を、現状での世の大きな動きを背景にしならが議論します。その後、研究開発テーマの創出と評価の全体をマネジメントするステージゲート法の紹介をすることで、その研究開発テーマ・マネジメントの全体像を理解いただきます。 次に研究開発テーマの創出法の具体的な手法例を紹介し、その後研究開発テーマの評価の具体的手法を紹介します。 最後に、財務的な評価手法を演習を行いながらご理解いただきます。演習はディスカウントキャッシュフロー (DCF) 法について行いますが、DCF法は欧米のほとんどのグローバル企業が広く活用している評価手法であり、今後の研究開発に関わる方にとっての必須の知識です。