先端冷却・放熱技術の研究開発動向

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本セミナーでは、AIチップや高性能半導体デバイスの高発熱化に対応する、従来の空冷を超える先端冷却・放熱技術について取り上げ、「液体金属を用いた放熱フィルム技術」「三次元マイクロ流路による省エネ水冷技術」「ハニカム多孔構造による超高熱流束沸騰冷却技術」をテーマに、AIチップにおける熱課題や空冷・液冷技術の現状と課題を踏まえながら、各講師が技術概要や最新の研究開発動向について解説いたします。

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プログラム

第1部 液体金属に関する基礎物性と放熱フィルムへの応用

(2026年6月24日 11:00〜12:00)

 AIチップや高性能半導体デバイスの高密度化に伴い、発生する熱をいかに効率よく外部へ逃がすかがデバイスの信頼性と性能を左右する。  本講演では、従来の放熱材料の限界を打破する材料として期待されるガリウム系「液体金属」の基礎物性と、その実装を支える「フィルム技術」について解説する。液体金属の優れた熱伝導性を活かすための界面制御や、液漏れ・腐食といった実用上の課題解決策に加え、デバイスの長寿命化に不可欠な「ガスバリアフィルム」および最新の「放熱フィルム」の設計思想について、独自の知見に基づき詳述するものである。

  1. 液体金属の基礎物性と熱伝導メカニズム
    1. ガリウム (Ga) 基合金の物理的・化学的特性
    2. 金属結合に由来する高い熱伝導率と電気伝導性
    3. 温度変化に伴う粘性および流動特性の挙動
  2. 液体金属の実装における実用課題と対策
    1. 他の金属材料 (Al、Cu等) に対する腐食・脆化
    2. 腐食を抑制するためのバリア層形成技術
    3. 高い表面張力の制御と基材への濡れ性向上
    4. 液漏れ (リーク) 防止のための封止構造の検討
    5. 熱サイクル環境下での物理的安定性
  3. 放熱フィルム・熱伝導フィルムの最新設計
    1. TIMとしての位置づけ
    2. 放熱フィルム型TIMに求められる機能と材料構成の最適化
    3. フィルムの薄層化と熱抵抗低減のトレードオフ解消
    4. ガスバリア機能と放熱機能を分離・統合する設計思想
    5. 他の放熱素材,従来TIMとの比較
    6. 放熱フィルムの実装プロセスと量産化への課題
  4. まとめと今後の展望

第2部 三次元マイクロ流路による半導体チップの省エネ水冷技術

(2026年6月24日 13:00〜14:00)

 半導体デバイスは、高速化、低消費電力化を可能にする三次元化に向けた開発が進められている。発熱密度の高い先端半導体デバイスは深刻な放熱問題を抱えるため高度な放熱技術が求められる。空冷方式より強力な、液体冷却技術の開発が進んでおり、二相式ダイレクトチップ冷却技術も商用化が実現するなど技術的な進展が著しい。  本講演では、先端半導体デバイス冷却技術を簡単に紹介した後、次世代の半導体チップ冷却技術として注目されているチップ内部にまで水を送り込んで抜熱する技術を紹介する。シリコンチップにマイクロ流路を形成し、マニフォールド構造およびマイクロピラー構造を用いた三次元構造により、二相冷却を用いた研究について詳しく述べ、その性能と挙動、課題について解説する。

  1. 先端半導体デバイスにおける水冷を用いた熱マネジメントの重要性
  2. 単相冷却技術の紹介
    1. 基本的な用語の解説
    2. 先端研究の紹介と解説
  3. 三次元マイクロ流路を用いた二相冷却の紹介
    1. 単相と二相冷却の違い
    2. マイクロ流路の構造と毛管力を用いた冷却
    3. 沸騰冷却と表面状態
    4. 水冷時の挙動と課題
    5. 二相冷却による冷却性能
    6. 逆流防止構造
    7. フッ素系冷媒と水の比較
  4. まとめと展望

第3部 AIチップの高発熱化に対応する次世代沸騰冷却技術

- ハニカム多孔構造による超高熱流束冷却 -

(2026年6月24日 14:15〜15:45)

 近年、生成AIの急速な普及に伴い、GPUを中心とした高性能半導体の発熱密度は急激に増大している。今後、AIチップでは1000 W/cm2級に達する超高熱流束が要求されると予測されており、従来の空冷・単相水冷では対応が困難になりつつある。  一方、沸騰冷却は極めて高い熱伝達性能を有し、次世代半導体冷却技術として注目されている。しかし、沸騰冷却においても「限界熱流束 (CHF) 」と呼ばれる冷却破綻限界が存在し、その克服が大きな課題となっている。  本講演では、AI半導体・データセンター冷却を背景として、沸騰冷却の基礎と限界、ならびにハニカム多孔質体を用いた限界熱流束向上技術について解説する。特に、液体供給と蒸気排出を分離する構造設計思想に基づき、外部動力を用いずに超高熱流束冷却を実現するアプローチについて紹介する。また、最新の研究成果として、ハニカム多孔構造による限界熱流束向上メカニズム、マイクロ・ナノ構造化技術、AIチップ・データセンターへの適用可能性、ならびに今後の熱マネジメント技術の方向性について議論する。

  1. AI半導体・データセンター冷却の最新動向
    1. 生成AI拡大による消費電力増加
    2. GPU・AIアクセラレータの高発熱化
    3. 半導体ロードマップと要求熱流束
    4. 空調電力とデータセンター冷却問題
  2. 半導体冷却技術の現状と課題
    1. 空冷技術の限界
    2. 単相液冷・液浸冷却
    3. 沸騰冷却 (二相冷却) の特徴
    4. 熱伝達率と除熱性能比較
    5. 温度上昇と半導体信頼性
  3. 沸騰冷却の基礎
    1. 沸騰と蒸発の違い
    2. 沸騰曲線と伝熱モード
    3. 核沸騰と限界熱流束 (CHF)
    4. なぜCHFで冷却が破綻するのか
    5. 蒸発理論限界との比較
  4. ハニカム多孔質体による高性能沸騰冷却
    1. ハニカム多孔構造の概要
    2. 毛細管力による液供給機構
    3. 蒸気排出チャネル設計
    4. 液供給と蒸気排出の分離設計
    5. 一次元循環流れの形成
  5. 限界熱流束 (CHF) 向上メカニズム
    1. 多孔構造とCHFの関係
    2. 構造寸法・厚さの影響
    3. 伝熱面サイズ効果
    4. 大面積冷却への適用性
    5. 従来研究との比較
  6. マイクロ・ナノ構造化技術
    1. 自己組織化による微細構造形成
    2. 電解析出を用いたマイクロハニカム形成
    3. 表面濡れ性制御
    4. ナノ・マクロスケール統合設計
  7. AIチップ・データセンターへの適用展望
    1. 1000 W/cm2級冷却への可能性
    2. 外部動力低減型冷却システム
    3. 高温動作と空調レス化
    4. 実装上の課題
    5. 今後の研究開発方向性

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