企業の製品環境コンプライアンスは、EU RoHS指令に代表される「特定有害物質の非含有保証」から、製品の「ゆりかごから墓場まで」のライフサイクル全般における順法保証へと、その法的要求事項の対象範囲が拡大しています。
この潮流の中核をなすのがEPR (拡大生産者責任) 制度です。EPRは先進国特有の取り組みに留まらず、リオ宣言の精神に基づき、途上国においても各国の社会インフラに応じた規制として導入が進んでいます。現在、多くの国で導入されているEPR制度は、国連のプラスチック条約交渉の影響を強く受け、特に「プラスチック包装材」を主眼に置いています。
EUはESPR (エコデザイン規則) を基本法として、EPR制度のフラグシップ法としてPPWRが制定されています。EPR制度によるDPPはEUだけでなく、日本ではJIS化の動きがあり、EU域外国も導入する動きもあります。
一方、アメリカの動向も気になります。アメリカは、ケミカルリサイクルを「廃棄物処理」から「高度な資源製造」へと再定義する「高度リサイクル (Advanced Recycling) 」を推進し、「マスバランス方式」の導入を図る潮流があります。これにより、リサイクル産業を静脈産業から動脈産業に再定義し、規制を緩和して、参入企業を増やすことを狙っています。
マスバランス方式は「両刃の剣」で賛否が分かれる部分がありますが、アジアやEUにも波及しており、現在はまさにEPR制度の転換期、あるいは黎明期にあるといえます。
EPR制度以外にも、化学物質規制は過去にもこれからも重要な規制法として、対象も広がっています。この潮流は、企業のみならず行政側にも大きな負担を強いています。製品環境規制は、多くの法規制が複雑に絡み合っており、関連する法規制の整合化の必要が高まってきています。
規制の効率化も必要となってきています。EUでは、こうした規制の整理・効率化の枠組みとして「オムニバス・パッケージ (Omnibus Package) 」の動きが進んでいます。具体的には、「環境オムニバス・パッケージ」としてEPRの簡素化、環境アセスメントの迅速化やSCIPデータベースの廃止などが挙げられ、また「化学物質オムニバス (Omnibus VI / OSOA) 」として、CLP規則 (分類・表示・包装) における有害物質ラベルのデジタル化の検討が進められています。このような動向をまとめてご説明します。
- EUの環境戦略の影響
- 環境政策や環境法規制は、製品含有有害物質規制から製品ものつくりの原材料採掘から廃棄、リサイクルまでのライフサイクルすべてを対象とする動きが急速に拡大してきています。
これまでの規制法を一度に改定できませんので、フラグシップ規制法以外は新たな理念は明確にしつつも、徐々に改定されています。
- Ursula Gertrud von der Leyen (ライエン 2.0) の戦略
- RoHS指令やREACH規則の動向
- EPR制度のEUやアメリカの動向
- フラグシップ規制法
- PPWR (包装材規則) やESPR (エコデザイン規則) の本質
- EU環境オムニバス・パッケージの動向
- EPRの簡素化、環境アセスメントの迅速化やSCIPデータベースの廃止などについて解説します。
- 環境オムニバス・パッケージ
- 化学物質オムニバス (Omnibus VI / OSOA) の動き
- CMPやDPPの動向をふまえた企業対応
- CLP規則 (分類・表示・包装) の 有害物質のラベル表示にデジタル形式を導入やCLP規則 (分類・表示・包装) : 有害物質のラベル表示にデジタル形式を導入などについて解説します。
- Q & A
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