有機化学の世界では、スペクトル解析は避けて通れない重要なスキルです。大学では多くの場合、2年生頃に必修科目として登場し、いきなり「このグニャグニャした曲線から目的物の構造を決めてください」という課題が与えられます。初めて取り組むと、ほとんどの人が「何をどう見ればいいのか全く分からない」と感じるのも無理はありません。
スペクトル解析が難しいのは、それが高校や大学で学んできた既存科目の延長線上にはないからです。暗記だけでは太刀打ちできず、「この形を覚えれば解けるだろう」と考えても、分子が変わればスペクトルもまったく異なるため、丸覚えは不可能です。
では、スペクトルを自在に読み解く人はどこが違うのでしょうか。実は、彼らはスペクトルの全てのピークを追っているわけではありません。NMR、IR、MSなど複数の測定法から得られる情報の中から必要な部分だけを抜き出し、論理的に組み合わせて、最短ルートで正しい構造へたどり着いているのです。
本セミナーでは、各分光法が「分子のどんな特徴を測定しているのか」を理解し、スペクトルからどのような情報が読み取れるのかを順を追って解説します。基本的なルールを身につければ、初めて見るスペクトルであっても、合理的に生成物の構造を予想できるようになります。
さらに、理解を深めるために豊富な演習問題を用意しています。最初は簡単な分子式・構造式・スペクトルから始め、段階的に複雑な問題に取り組みます。複数の情報を組み合わせて解く課題を通じて、「どの分光法で何を測っているのか」「スペクトルのどこを見れば構造の手がかりが得られるのか」を常に意識できるようになるでしょう。
本講座では、スペクトル解析の基礎知識を体系的に学びます。赤外分光 (IR) からは官能基の種類、質量分析 (MS) からは分子量や分子の断片情報、核磁気共鳴分光 (NMR) からは原子同士の結合関係や分子の骨格が読み取れます。これらを組み合わせることで、未知化合物の構造を論理的に推定できるようになります。初めはただ「グニャグニャした線」にしか見えなかったスペクトルチャートが、次第に「ヒドロキシ基がある」「芳香環が含まれている」「この炭素には水素がついていない」といった具体的な情報を示す“言語”として理解できるようになります。そして最終的には、その情報を積み重ねることで、一本の線から分子全体の構造式を描けるようになることを目指します。
このセミナーを通じて、スペクトル解析を“わからない曲線”から“分子の姿を読み解く道具”へと変えていきましょう。
- 水素不足指標 (IHD) を計算しよう
- 分子式からIHDを計算しよう
- 構造式からIHDを求めよう
- 赤外吸収スペクトル、ここを見よう。
- そもそもIRスペクトル、何を見てるの?
- カルボニルある?ない?
- ヒドロキシ基、アミノ基どこに出る?
- 質量スペクトルから何がわかる?
- そもそも質量スペクトル、何を見てるの?
- 分子量はどこでわかる?
- 特徴あるピークを見つけて、含まれている官能基を推定しよう
- C-NMRから何がわかる?
- その化合物、何個の炭素が含まれている?何種類の炭素が含まれている?
- スペクトルから何種類の炭素があるかを読み取ろう
- 各炭素に結合している水素の数を決めよう
- 各炭素はどんな環境にあるか決めよう。混成軌道は? 隣の元素は何?
- H-NMRから何がわかる?
- その化合物、何個の水素が含まれている?何種類の水素が含まれている?
- スペクトルから何種類の水素があるかを読み取ろう
- どの炭素とどの炭素が隣同士かな? (ビシナルカップリング:n+1則)
- こんな場合もカップリングする
- 各炭素はどんな環境にあるか決めよう。混成軌道は? 隣の元素は何?
- さあ、構造解析してみよう
- まずIHDを計算して、大まかなイメージをつかもう。
- 過不足がないように含まれている部品 (置換基) をリストアップしよう
- 部品をつないでいこう。端にくる置換基はどれ? 真ん中に来る置換基はどれ?
- 異性体の候補を比較して、構造決定しよう。
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