次期の省エネルギー照明やディスプレーの光源として期待されているLEDは固有で有限の寿命をもっているため、信頼性評価や信頼性設計の考え方が、従来のシリコンICやLSIの場合とは大きく異なる点に注意が必要です。
本セミナーではまず、LEDの信頼性の特徴を述べ、信頼性評価の実例を概観したあと、寿命評価に関する標準化の動き、LEDシステムの信頼性設計のポイントを解説します。
とくに寿命に関しては統計的データが信頼性設計上重要であることを理解していただきます。
続いて、LEDの熱管理のポイントを明らかにし、基本技術である熱抵抗の測定方法について説明します。なかでも過渡熱抵抗の評価が照明器具などのLEDシステムも含めた放熱設計検証ツールとして、またLEDの実装不良の検出に有効な手段になりうることを解説します。
- LEDの信頼性の特徴
- 半導体デバイスの信頼性とは何か<信頼性の2つの側面>
- 故障率のバスタブカーブにみるLED信頼性の特徴
- LEDで想定される故障モードと故障メカニズム
- LEDの信頼性への取組み<シリコンICやLSIとの基本的な違い>
- メーカ、研究機関のデータから
- 各社のLED信頼性試験データと照明器具設計者向けツール
- LED寿命予測方法とLM-80テストレポート
- 照明器具全体の信頼性設計
- 電解コンデンサで支配されるLED駆動回路の寿命予測報告例
- 報告データから導き出せるLED寿命の活性化エネルギーの分析と比較
- LED寿命評価に関する標準化の動き
- ASSIST勧告の動向と現状
- LEDダウンライト試験報告例
- IES規格 LM-80の紹介と分析及び寿命推定法 (TM-21)
- LED照明器具の“Energy Star“適合基準
- LED寿命評価に関するIEC,JISの動向
- 偶発故障の故障率
- 偶発故障で決まる故障率の推定
- 信頼水準と期待故障数の計算
- 信頼度評価試験に必要なサンプル数
- マルチLEDシステムの信頼性設計
- マルチLEDシステムに要求される信頼性
- 交通信号灯をモデルとしたシミュレーション
- 加速寿命試験による故障率予測とデバイスアワーの壁
- 磨耗故障による故障率
- LED寿命評価のポイント<なぜ分布データとしての統計的調査が必要か>
- LED寿命に至る前に生ずる故障率急増の脅威
- 現状よりもさらに大幅な寿命改善を必要とする理由
- 長寿命LEDの寿命評価の難しさとその打開策
- 温度加速試験が成り立つための条件と温度加速試験の失敗例
- LEDの発熱と熱抵抗評価
- LED発熱の起源
- LED発熱と光出力の低下及びLEDの温度・電流による波長シフト
- 蛍光体を有する白色LEDの温度による波長シフト
- LEDに特異的な温度によるVFの挙動
- シリコンとは異なるVFの温度係数 (K Factor) とその理論的背景
- 接合温度の推定と熱抵抗測定法
- Heating Curveの解析と熱設計検証への応用
- 過渡熱抵抗測定によるLED実装不良解析と品質管理への応用
- まとめ