近年、脱炭素社会の実現に向けた国際的な取り組みにおいて、核融合 (フュージョン) への期待が盛り上がっている。その研究開発に対する民間投資が増加する中、フュージョンが真に革新的なエネルギー源になりうるか?が今、問われている。
つい最近、日本の女性初の首相となった高市早苗氏はフュージョンへの強い関心を示すとともに、2023年には、統合イノベーション戦略推進会議において、日本のフュージョンエネルギーのイノベーション戦略としてフュージョン発電の実用化を加速するために、スタートアップの研究開発を支援し、同時に核融合の産業化を推し進める方針を発表している。今後、産官民主体の核融合研究開発で創出される技術は宇宙開発、高温超電導、モビリティ電動化および高耐熱材料など他分野への応用、産業化がさらに推進されることが予想される。
政府が主導する主流の核融合方式であるトカマク型の原型炉は2045年頃までに建設され、発電実証がなされる計画であるが、今世紀半ばのカーボンニュートラルには商業炉建設は間に合わない。そのため、海外ではゲームチェンジャーになりうる革新的核融合方式のスタートアップ企業に大きな期待が寄せられ、それらの多くは2030年半ばには経済的な商用炉を実現することをミッションに掲げている。これらの企業はプラズマ生成からエネルギーの取り出しまでの炉構造の全体システムにおいて、革新的なアイデアを提案しているのが特徴である。
本講演では、核融合の基礎、原型炉に向けた技術課題点、及び最新動向を概説し、世界で40社以上にも増えつつある民間企業の開発技術、特に、筆者が長年行ってきた革新的核融合方式での研究の経験を活かして、そのコンパクトなパルス核融合炉とその実現の可能性、開発が急ピッチで進められている爆発的なイノベーション技術と応用とは何かについて分かり易く解説する。
- 核融合 (フュージョン) エネルギーとは何か?
- 脱炭素化時代のフュージョンエネルギー開発と国際協力
- なぜ、核融合発電の実現に時間がかかるのか?
- 核融合発電のしくみ
- 原子力 (分裂炉) 発電とどう違うのか?
- 核融合開発はどこまで進んでいるのか?
- 核融合反応を起こす高温プラズマとは何か?
- 高温高密度のプラズマを磁場で閉じ込める方法とは?
- フュージョンエネルギーの取り出しの方法とは?
- 核融合スタートアップ企業への過熱する投資と支援
- 今なぜ核融合発電が注目されているのか?
- 核融合スタートアップへの巨額の民間投資と波及効果
- 核融合スタートアップを支援する組織と活動状況
- 経済的でコンパクトな核融合炉に向けた技術課題と革新的アプローチ
- イーター国際協力で進展するトカマク型核融合炉の技術課題とは何か?
- 装置中心に構造物のないコンパクトなプラズマ閉じ込め方式の利点
- 磁化ターゲット核融合への新しいアプローチ
- 高温超電導強磁場コイルの開発と現状
- 中性子フリーの魅力的な核融合反応の利用と新しいエネルギー回収法
- 主に海外の核融合スタートアップ企業のイノベーション技術
- 常温超電導コイルを用いた強磁場化によるトカマク炉の小型化の利点
- ドーナツ形状プラズマの低アスペクト比化によるトカマク炉の小型化の利点
- 中性粒子ビーム入射でコンパクトトーラスプラズマ (FRC) の加熱と定常化技術
- 二つの磁化プラズモイドの高加速、衝突合体と急速磁気圧縮方式による高密度化・高温化と誘導型エネルギー回収技術
- 磁化プラズマガンと圧縮ガス駆動ピストンを用いたコンパクトトーラスプラズマの衝突合体圧縮技術
- 磁場コイルを用いない究極の小型パルス商用炉を目指したシアフロー安定化Zピンチ
- 循環する液体金属用いた遮蔽、エネルギー回収と燃料増殖の炉工学技術
- 燃焼プラズマ周辺の炉工学的技術の開発技術 (国内企業)
- フュージョン・イノベーション技術の産業化
- 高温超電導コイル
- 高電圧大電流パルスパワー技術
- 磁化プラズモイド噴射を利用した超高パワー熱負荷材料損耗試験装置と宇宙推進機
- 高繰り返し可能な高パワーレーザー
- 高パワーイオンビーム
- リチウム回収技術、マイクロ波金属精製技術
- 新材料関連
- その他
- まとめと今後の課題
- 質疑応答
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