生成AIの爆発的成長は、半導体産業を従来のサプライチェーン競争から、国家と巨大プラットフォーマーが覇権を賭けて資源を奪い合う新たな地政学的戦場へと変貌させた。AIデータセンターでは、GPUのみならず、CPUやASICなどのロジック半導体、HBM・DRAM・NAND・HDDなどのメモリ、さらには電力・水・土地といったインフラ資源までもが、前例のない速度で争奪の対象となっている。この巨大なAI経済圏を支える核心技術がGAA (Gate – All – Around) であり、2025年から2030年にかけての半導体覇権の行方を決定づける「基盤技術」である。
本講演では、GAAをめぐる国際競争を、TSMC、Samsung、Intel、Rapidusの4社の動向を軸に読み解く。TSMCは157台のEUVを使いこなし、スマホ依存からAI中核企業へと急速な構造転換を遂げつつある。SamsungはN2やHBMで厳しい局面に立たされ、Intelは巨額赤字の中で「18A」「14A」による再起を国家主導で目指す。Rapidusは2nm量産を掲げるが、顧客・EUV台数・人材・エコシステムの整備に大きな課題を抱える。さらに、OpenAI、Microsoft、Google、Amazon、Metaなどのハイパースケーラーが、前払い契約によって先端半導体を囲い込む「札束による調達戦争」を展開し、市場構造と国家政策を大きく揺るがしている現状を分析する。併せて、AIデータセンターの爆発的増設が世界的なメモリ不足を引き起こし、HBM・DR AM・NANDの価格高騰を招いている構造も明らかにする。本講演は、GAAを単なる半導体技術ではなく、AI経済圏を支配する“文明選択”として捉え、日本がどの領域で戦い、どこで勝つべきかを見極めるための羅針盤を提示するものである。
- はじめに
- 自己紹介
- 本セミナーの概要と結論
- 生成AIが変えた世界のルール
- AIデータセンターが引き起こすパラダイム転換
- AIデータセンターがGPU・HBM・メモリ・電力を食い尽くす
- 半導体は国家の命運を握る「戦略インフラ」へ
- GAAトランジスタの新時代へ
- GAA (Gate – All – Around) 構造とプロセスフロー
- GAAを巡る製造装置メーカーの攻防
- GAA、BSPDN、High NA、CFET … 次世代技術の分岐点
- 先端Logic半導体メーカーの戦略と現在地
- TSMC (ファウンドリの王者)
- EUV157台体制とN2量産への道
- N2に殺到するファブレスとCoWoSのキャパシテイ
- ノード別売上高とウエハ投入枚数から見るビジネス構造の変化 (11/25更新)
- Samsung (ファウンドリもメモリも大苦戦)
- N3でGAAを導入するも歩留り上がらず
- N2で米Teslaと大型契約 (生き延びた)
- HBMとDRAMでSK hynixに劣後し苦境に陥る
- Intel (かつての半導体王者の凋落)
- 「4年で5 Node」が失敗し窮地に陥ったIntel
- 「トップ10からの脱落」「AI半導体は手遅れ」「リストラはマラソン」
- 社運を賭ける「A14」に顧客がつかなかったら最先端から撤退
- Intelの将来は「ファブレス」「身売り」「国営」か?
- Rapidus (N2への無謀な挑戦)
- NHKスペシャル (9月7日) の紹介
- 当てにしていたテンストレントもTSMCに先を越された
- 500億円でEUVを買う?
- 破綻しているRapidusのビジネスモデル
- ハイパースケーラーが仕掛ける資源争奪戦
- NVIDIAを中心に形成されるAIサプライチェーン
- OpenAI・Microsoft・Googleの前払い契約モデル
- 「札束でウェハを奪い合う時代」へ
- 台湾・韓国・米国・日本の争点
- AIデータセンターへの狂気的投資がもたらすメモリ不足 (11/25更新)
- DRAMとNAND価格の高騰
- DRAMメーカーの主戦場がDDRからHBMへ
- HBM中心の投資がDDR不足を招く
- NANDもAIサーバー向けSSDに集中
- HBMもDRAMもSSDも2026年まで完売御礼
- 結論とメッセージ
- GAAはトランジスタ技術ではなく「国家戦略技術」
- AIデータセンター経済圏が覇権を決する
- 日本はどこで戦い、どのように勝つべきか
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