最近、小型化・高性能化が著しく発展しているセラミック電子部品分野においては、その製造プロセス技術としての成形技術がとても重要な位置を占めている。現在、特に積層型のセラミック電子部品 (特に誘電体・圧電体部品) において、実際の製造工程は有機溶媒を用いた非水系成形プロセスが主流であるが、環境問題に対する関心も急速に高まっており、作業性・安全性・低コスト化の観点からも、今後は水系プロセスの確立が必須と考えられる。 しかし、主要な誘電体材料を用いた水系プロセスにおいては、多くの課題があるのにもかかわらず、研究例は僅かである。 本セミナーでは、特に成形工程においてプロセスの均質化のためにスラリーに要求される粒子の分散状態やレオロジーを得るための基礎的なデータ、そしてそれらがその後の成形および焼結後のセラミックスの諸特性に及ぼす影響について調査したデータをもとにプロセス因子について解説することを目的としている。ここでは、これまで経験的な要素が大きかったセラミックスのプロセス分野に積極的にサイエンスを導入できないか?を積極的に議論したい。