大気圧プラズマは真空容器や排気設備を必要とせず,また高密度な活性種を生成できるため,産業応用には大変多くのメリットがあります。このため,ここ数年,材料表面の親水化処理,接着性の向上,クリーニング等の分野で急速に利用され始めています。学術的にも,IEEEの国際会議では2005年には1%以下だった大気圧プラズマの発表件数が,2012年には25%を越すまでに激増しています。しかし,大気圧プラズマの発生や利用法についてはブラックボックスな部分が多いため,産業応用へのしきいが高いのも事実です。 そこで本講演では,大気圧プラズマの物理をわかりやすく解説するとともに,最新の大気圧プラズマ生成法と表面処理,殺菌,環境浄化等への最先端の応用例をご紹介ます。さらに,講師の最新の研究テーマである,ダメージフリープラズマ,マルチガスプラズマ,温度制御プラズマなどの開発およびこれらを用いた,高速表面クリーニング,超高速酸化膜還元,リアルタイムガス分解などにスポットをあてて研究成果をご紹介します。