過去数年の生成AI需要の急激な増加と、20年以上の継続したクラウドやネット需要に基づき、日米でデータセンターへの新規投資が活発化している。日本では、自社内 (オンプレミス) のコンピューター室を外部に移管する「コロケーション型」が多かったが、ここに来て増えてきているのは、GAFAMをはじめとする米国系クラウド企業の「サプライチェーン的」なビジネスモデルである。GAFAMは日本市場を重要視しており、首都圏および関西圏を中心に相次いでコロケーション型データセンターの調達を進めている。米国が圧倒的なシェアを占める「生成AI」に関しても、「学習」と、「推論」ともに、米国の動向に左右される。 同時に、スーパースケール型やコロケーション型に入らない「エッジ型」データセンターが急速な発展を遂げると言われているが、都市が密集している日本での商機は大きい。データセンターに伴う電力需要も増えており、日米でクリーンな発電リソースの不足や、送配電を含め電力インフラへの負担が顕著になってきたが、米国では、州政府による「誘致と規制」のアクセルとブレーキが同時に踏まれる状況になってきた。 また、今年になって、マイクロソフトをはじめ、大手のクラウド・データセンター事業者の「戦略変更・軌道修正 (FinOps) 」が明らかになってきたが、日本への影響が甚大であると考える。エネルギー分野とデジタル分野の融合によって、電力の効率性・安定性・柔軟性を同時に実現するための新しい概念として注目されている「ワット・ビット (Watts and Bits) 構想」が活発に議論されるようになってきた。 データセンター電力需要の多くを占める「通信」の大幅な改善に向けて、NTTが主導する「光電融合プロセッサ (IOWN) 」と、NVIDIA等が導入を進める「Co-Packaged Optics (CPO) 」は、目的・構造・応用分野は異なるものの、主導権争いが激化しそうである。 米国のデータセンタービジネスが現在どうなっており今後どう推移するか、「ワット・ビット構想」や「通信」がどのように世の中を変えていくかを、米国在住40年の講師が、「日本目線」で具体的な事例を交えて解説する。