再生可能エネルギーの普及と分散型電源の拡大に伴い、エネルギーインフラの柔軟性と即応性が強く求められている。その中核を担うのが、次世代スマートメーター (AMI 2.0) である。本講演では、日本における次世代スマートメーターの技術的要件や展望を解説するとともに、米国において標準化が進む「AMI 2.0 (Advanced Metering Infrastructure 2.0) 」との比較を通じて、その本質的な違いや導入意図を明らかにする。 通信方式、データ分解能、リアルタイム制御能力、エッジインテリジェンスなどの観点から、両国のスマートメーターアーキテクチャを構造的に比較し、再生可能エネルギー・インバーター・PPA・アグリゲーターといった関係事業者にとっての導入意義と課題を明示する。特に、IEEE 2030.5などの通信規格と連携した制御応用例は、日本における今後の制度設計にも大きな示唆を与える。 AMI 2.0がスタートしたばかりであるが、米国では、2030年ごろの本格展開を目標にAMI 3.0の段階的な導入計画を進めている。連邦レベルではDOE (エネルギー省) が2024年に発表したGrid Modernization Initiativeにおいて、AMI 3.0技術を次世代配電網の中核要素として位置づけている。 AMI 2.0とAMI 3.0の共通目標である、需給調整市場・容量市場・DR市場といった新たな市場設計と、スマートメーターを通じたデータ連携・制御信号活用によるグリッドの安定化の方向性が徐々に明らかになってきており、事業者にとっての新たな収益源の可能性が見えてきた。 このセミナーでは、米国在住40年の講師が、次世代スマートメーターを単なる計測機器ではなく、「分散型エネルギー社会を支える基盤インフラ」として再定義し、各業界プレイヤーが戦略的に取り組むべき方向性を提示し、ビジネス変革の具体的ビジョンを共有する。